あの夏の花火 (ページ34)

今日:23 hit、昨日:0 hit、合計:727,428 hit

34 想いページ34

・

・

飲み会がお開きになり、それぞれ帰る人や、次のお店に流れる人と、別れる。

・

・

私達四人は、雅紀クンの持って来た花火をやろうと、四年前のあのグランドへと向かった。

・

・

あまり飲めないのに、ちょっと飲み過ぎた。

・

楽しくて、ついついお酒がすすんでしまって、少しフワフワと頭がまわる。

飛び跳ねたくなるような気持ちで、私は歩く。

・

・

グランドについて、雅紀クンが袋から花火を取り出した。

・

・

あ。火がない。

・

・

そう思ったら、雅紀クンが胸ポケットから、ライターを出した。

・

・

「タバコ、吸うの？」

「ん？吸うよ？」

雅紀クンは、なんでもないことのように笑った。

・

・

そうだよね。

あの頃とは、違うんだから。

・

・

・

真っ暗な闇に、四つ浮かび上がる華やかな炎の花。

・

立ち込める、煙の匂い。

・

あの時と違うのは、手がかじかむくらい、空気が冷たいこと。

・

吐く息が、真っ白なこと。

・

・

・

「さみぃな」

二宮和也が言い、ジャンケンで負けた人が熱いコーヒーを買いに行くことになる。

・

・

・

デジャブのようにミオが負けて、私が女の子一人ではダメ、と言うと、二宮和也と雅紀クンがジャンケンをする。

・

・

・

私は、ミオと雅紀クンの背中を見送りながら、不思議な気持ちになった。

・

・

・

好き、だったなあ…