あの夏の花火 (ページ29)

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29 零れる涙ページ29

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「A？」

ミオが、私に気付く。

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ミオの声に、雅紀クンと二宮和也が、私を見る。

「痛ぇのか？」

「大丈夫？どうかしたの？」

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みんな、優しい。

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「…あのね、私ね、転校するの」

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「嘘でしょ？」

ミオがポロリと涙を零す。

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泣いても可愛いなあ。

何しても、可愛い。

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みんなに、わけを話す。

「電車で一時間くらいだから、会える距離なんだけどね」

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…きっと、離れたら、あまり会わなくなるよね。

みんな、わかってる。

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だって、学校が、私達の生活のすべてだもん。

自分の勉強や、成績や、試験や、友達や、恋でいっぱいいっぱいだもん。

もう、今日みたいなのは、終わり。

夏休みが終われば、ここに私はいない。

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「電話するよ。メールもするよ。絶対、ずっと友達だから」

ミオが泣きながら、言う。

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ウン。

私もする。友達だよ。大好き。ありがと。

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二宮和也の目から、涙が一筋、流れた。