あの夏の花火 (ページ20)

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20 馬子にも衣装ページ20

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「馬子にも」

「衣装、って言うんでしょ。どーせ」

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けっ。

アンタの言うことなんて、お見通しなのよ。

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待ち合わせの駅前に早く着き過ぎた私に、珍しく早く来た二宮和也は悪態をつく。

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「相葉サンは可愛いっつーんじゃね？」

「アンタと違って優しいからね」

好きでもない女の子にも、優しいからね、雅紀クンは。

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二宮和也は噴水の前のベンチに座り、顎をクイッと隣に向ける。

座れ、ってか。

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私は浴衣のせいで狭くなっている歩幅と、履き慣れない下駄のせいで、いつもよりゆっくりと歩いた。

二宮和也は、頭の髪飾りから、足の下駄まで舐めまわすように私を見た後、フッと鼻で笑いやがった。

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ムッカッツックー！！！

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いつもなら文句を言う私だけど。

気合いを入れて浴衣を着て来たせいか。

浴衣を着たことで乙女ちっくになっているのか。

お別れをみんなに話さなきゃいけないっていう気持ちがあるからか。

なんだかわかんないけど、ポロリと涙が零れた。

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せっかく、ビューラーでまつ毛をクルンとしてきたのに。

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そしたら二宮和也は、私の顔を覗き込んで言った。

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「わりぃ。可愛かったから、つい」

って。

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びっくりし過ぎて、鼻水が出た。