あの夏の花火 (ページ11)

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11 ポニーテールページ11

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その日の体育が終わった後、運動場横の手洗い場で顔を洗おうとしたら、ミオが日直だったのを思い出して、慌てて先に更衣室へ走って行く。

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私が一人で顔を洗って、タオルで拭いていると、横から、

「タオル」

と言う悪魔の声が聞こえた。

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私が無視すると、悪魔は、

「貸せや」

と睨む。

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さらに無視して、これ見よがしにタオルを見せびらかしながら顔を拭いていると。

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横から、鋭い水がプシューッと襲ってきた。

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…雨？

なわけないよね。

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私は頭から水を滴らせている。

ジャージも濡れている。

くっそぉ。

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二宮和也を見ると、コイツも頭からずぶ濡れで。

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「…もしもし？」

「あ？」

「アンタ、何やってんの？」

「水道に、人差し指突っ込んでみただけですけど？」

「それにどーゆー意味が？」

「オマエがタオル貸さねぇからだろーが」

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…意味が、わかんない。

私の頭がおかしいんだろうか。

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そう思っていると、私の手からタオルが奪われ、二宮和也がそれで顔を拭く。

「アンタねぇ！」

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文句を言おうとすると、拭き終わったタオルをポイッと私に放り投げ、二宮和也は私の後ろを通り過ぎる。

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その時、ポニーテールに結んだ髪の毛の先っぽを、二宮和也がグイッと引っ張って言った。

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「コレ、可愛いな」

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ビックリして、私は二宮和也を振り返る。

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「なんて言うと思うか。バーカ」

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スタスタと去って行く、二宮和也。

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サイテーだ。

コイツ、やっぱり悪魔だ。