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行く方向が同じだからと、俺はAさんと並んで道を歩いた。
俺がテニスを始めたことは、祖父から聞いていたらしい。Aさんはいろいろと話しかけてくれたが、俺はどうも照れくさくて。
気を悪くしたのかと聞かれても、思わずつっけんどんな返し方をしてしまう。
言えないだろう。まさか、恥ずかしくて直視できないなんて。
「……いいから、こっちくらい見ればいいだろう?」
「!」
ぐいとAさんの手が、俺の顔を無理矢理向ける。
目に入った、Aさんの顔。それだけなのに、俺の胸は大きく音を立てて。
「やめてくださいよ。前が危ないじゃないですか。」
赤くなりかけた顔を隠すように、Aさんの手を払い前を向く。
無愛想だと文句を言うAさんの声も、異様に音を立てる心臓のせいでうまく入ってこなかった。
「本当、お前といると弟ができた気になるよ。」
「……」
なんで。本当に、なんでこういう言葉だけは、はっきりと耳に入ってくるのだろう。
弟じゃ嫌なんですよ。Aさん。弟じゃ、ダメなんです。
弟でも、昔馴染でも、なんでもない。
あなたの「好きな人」に、俺は、なりたいんです。
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幻想曲(プロフ) - 柏餅さん» ありがとうございます!桜、朱に咲くから閲覧ありがとうございました! (2016年2月27日 22時) (レス) id: 1deaa07922 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅 - お疲れさまでした!!おもしろかったです(*´∀`) (2016年2月27日 16時) (レス) id: c42c8704be (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - 柏餅さん» 返信遅くなってすみません!ありがとうございます、頑張ります! (2015年12月29日 7時) (レス) id: 1deaa07922 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅 - 番外編頑張ってくださいね♪ (2015年12月28日 9時) (レス) id: c42c8704be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幻想曲 | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru
作成日時:2015年12月27日 21時