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ようやっと人混みを抜けて。少しばかり惜しかったが、俺はAさんの手を離した。
ふっとAさんを見ると、髪の毛が解けかかっていた。人混みを歩いてきたのだから、そのせいだろう。
少し持っていて欲しいとAさんに巾着を渡され、Aさんは自らの髪を解いた。
はらりと、Aさんの長い髪が落ちる。その仕草が、どうも俺の胸を強く叩いた。
以前も、何度か髪を解いたAさん会ったことはあった。
でも、どうしてだろうか。今日は、今まで以上に、一番。
「……若?どうした、こちらを見て。」
不思議な顔をして、Aさんがそう尋ねた。
その仕草ですら、ドキドキして堪らない。
「……Aさん。伸びましたね、その……髪。」
咄嗟に、そんな言葉が飛び出た。
だって、そうでもしないと、いつか本音が出てしまいそうで。
そろそろ切る、と言ったAさんに、俺はその髪が好きだと言った。
本当は、髪だけなんかじゃないのに。本当は、あなた自身のことが、俺は。
「相変わらずさらさらだなーお前の髪は……」
Aさんの手が、髪に触れた。
さらさらと俺の髪を梳くたび、どんどん、気持ちが溢れそうになる。
もう、ダメかもしれない。そう思ったその時、大きな音が鳴り響いて、赤い色がAさんを照らした。
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幻想曲(プロフ) - 柏餅さん» ありがとうございます!桜、朱に咲くから閲覧ありがとうございました! (2016年2月27日 22時) (レス) id: 1deaa07922 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅 - お疲れさまでした!!おもしろかったです(*´∀`) (2016年2月27日 16時) (レス) id: c42c8704be (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - 柏餅さん» 返信遅くなってすみません!ありがとうございます、頑張ります! (2015年12月29日 7時) (レス) id: 1deaa07922 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅 - 番外編頑張ってくださいね♪ (2015年12月28日 9時) (レス) id: c42c8704be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幻想曲 | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru
作成日時:2015年12月27日 21時