華、蒼に散る 【テニプリ/日吉若】

●１６● ページ16

.



.



「はあー、やっぱ混んでるなー……っておい、ジロー！勝手に行くな！」



ついた先は、混み合っていて。丸井さんたちと合流したあとも、どんどん人が増えていってるようにも思えた。



混んでるというのに、芥川さんときたら……



「おいこら待て！ジロー！おい！……あーもう、追いつけねえじゃねえか！って、岳人どこ行った！？」




「おまんも大変じゃのう、宍戸……」




丸井さんの連れていた仁王さんも、宍戸さんもうんざり顔。芥川さんの行動に呆れた次は、やっぱり向日さんか。



あの人、チビだしなあ。



「……！」



と、油断していたら宍戸さんたちの間を人に遮断された。



みるみるうちに、二人が離れていく。……ああ。俺も迷いオチか。これは。



まったくもってついていない。こんなならば、付いてくるのではなかった。



Aさんがいるかもなんて、数十分前の自分を思い切り殴ってやりたい……




その時だった。不意に、誰かと肩がぶつかった。



「あっ……すいませ、」




言いかけて、言葉を止める。



だって、俺が肩をぶつけた相手は。



「……Aさん！？」




お団子髪に浴衣をまとった、いつもより綺麗な、Aさん。

●１７●→←●１５●

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す