■ ページ5
.
TH「風邪引くといけないからシャワー浴びて。
服は俺のテキトーに着たらいい。」
お互い下宿というのは環境としては最高だった。
…ま、今までの元カノのパジャマもあったけれど
なぜか彼女には着せたくなかった。
ザァァ、と水の音が聞こえる。
別に、いつものシチュエーションだ。
これから抱くにはありふれた状況。
『上がりました、』
TH「…ん、」
動悸が止まらなかった。
また胸がざわついた。
TH「…しよっか、」
『何をですか？』
焦らさないでよ、ばか。
その純粋さなんて捨ててしまえばいい。
…いや、やっぱりそのままでもいい。
耳は弱い。それは分かった。
ほどほどに吐息を耳にかけながら、
彼女の頬がほんのり赤くなるのを待つ。
強引にキスをして息なんて吸い込ませないくらいに。
舌をねじ込んで、絡めた。
慣れていないのか、口の中で動きが鈍くなった。
ゆっくりとベッドに押し倒して、シーツをぎゅ、と握りしめる彼女の鼻とくっつきそうな距離。
いつも俺は優位だった。
リードする立場だったのに。
彼女に転がされている感覚がしてならない、
行為としてのキスじゃなくて感情のためのキス。
それを知ったような気がする。
『…っ、ん、ん!!』
可愛くないよ。A、お前は可愛くない。
でも、見惚れてしまうほどに惹かれる。
-彼女は口が弱い-
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1848人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鯢
| 作者ホームページ：https://twitter.com/3_sho_u0
作成日時：2021年11月1日 14時
