歪んだ夕日 IV (ページ29)

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伊『美味しかったね』

「ね！特にお肉ヤバかったね」

伊『あれ歯いらなかったもん』

「確かに！」

『あ』

伊『え』

シュリ〈Aと慧じゃん〉

『何してんの』

伊『塾の帰り』

シュリ〈え、さっき2人ともご飯食べに行ってなかった？〉

「あ、うん」

シュリ〈大貴ストーリー見てなかった？〉

『スマホ開いてなかったから』

シュリ〈そっか！〉

なんとなく。この日だけは会いたくなかった。

伊『シュリは大ちゃんからなんか貰えた？』

シュリ〈見てこれ！可愛いでしょ〜！〉

この間大貴にスマホ覗き込まれた時に丁度見ていたクリスマスコフレ。その時大貴は

『クリスマスなだけでこんな高い金出すの馬鹿馬鹿しいな』

って言うから私は

「女の子にとってクリスマスがとれだけ大事かわかる？！」

と反論した光景が一瞬でフラッシュバックしてくる。目の前で喜んでいるシュリが羨ましかった。バイトしてない私には1番欲しかった物を諦めて、価格を落として買った私は大貴の言う通り馬鹿馬鹿しい。

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