短編集 Ⅵ (ページ39)

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『おいで』

知念くんのお家は何度かお邪魔したことがあって、知念くんはベッドサイドに座り、私を自分の横に誘導する

『ね、こっいむいて』

「ん、？っ、…………！」

『………、……………………』

こっち向いてと言われてまだ向かい合ってないのに首の後ろに手を添えてキスを落とした

やっぱり上手だ、…………

「ちねんくん、」

『んー？』

「私、裕翔くんとはただの友達でよく勉強教えてくれる人なんです、だから好きとかそういう感情とか全くないです！」

『………』

「そのさっき裕翔くんの名前言った時嫌そうな顔してたから、裕翔くんと仲悪いのかな、って思って、」

『はぁ、』

「え、、、、」

『何で僕じゃダメなの？』

「知念くんがいいです」

『そうじゃなくて勉強教えるの』

「え、………と、」

『一昨日、放課後図書室で勉強してたでしょ？』

「うん」

『それで2人が付き合ってるって噂されてるし、相手僕と真反対の人だし、彼氏いるのに彼氏じゃない人が噂されてるのは嫌でしょ？僕ら付き合ってること隠してるわけじゃないし』

「ごめんなさい」

『別に話すなとまでは言わないけどさ、一番最初に頼るのは僕であって欲しいな』

そう言うと知念くんは私の首に顔を近づけて少し強めに吸い付く
何箇所か繰り返して所々痛さを感じたけど、これは世間一般で言う"嫉妬"と言うやつなんだと思う
いつも余裕そうに見える知念くんの余裕のなさそうな態度に少し嬉しくなった

『次、男と噂でたら覚悟しといてね』

「は、はい…………」

END

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