短編集 Ⅵ (ページ27)

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定時になり、会社を出ると好きなせいか一瞬で見つけてしまう好きな人の姿
やっぱり冬はロングコートだよね〜なんて呑気に考えているとさっきまで遠くにいたはずの人が今目の前にいた

「うわっ！」

『なにびっくりしてんの』

「いきなり目の前来るから、」

『Aがボッーとしてただけでしょ？』

「ごめんなさい」

『ん、この後ヒマ？』

「ヒマだけど？」

『僕の家来てよ』

「あ、うん」

満員電車は勿論座ることはできなくて、ドア側に立つことにしたんだけど侑李の家は私の駅より少し遠いから段々とフラつき初めた私の腰にギュッと腕を回してきた
キュンとさせるの苦手って言ってたくせにサラッとできちゃうなんてこれ以上惚れさせないでよ！なんてこの満員電車で1人だけ場違いな考えごとをしてい

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「お邪魔します」

『どーぞー』

今日で4回目の侑李のお家
お洒落というよりかはハイスペな家電ばかりが揃う彼らしいお家

『あのさ、僕元カノに未練とかないからね』

「へ？」

『今日たまたま聞こえて』

「聞いてたの！」

『だから、聞こえてって言ったでしょ！』

「あ、ごめん」

『で、なんでそんな話になったの？』

「私もたまたま聞こえたんだけど、元カレを忘れるのは難しいって山田くんにアドバイスしてたでしょ？」

『あー昼の時？』

「そう、それって自分に置き換えて言ってるのかなって」

『バカ』

「バカって！」

『Aにだって元カレの記憶あるでしょ？ここデートで行ったとか好きな映画とか嫌いな食べ物とか覚えてるでしょ？』

「ちょっとだけ、」

『それくらいの感覚で言ったつもりだったんだけど』

「あ、そうなの？ごめんね、、」

『別にいいよ、これからも僕のことだけを好きで居てくれたらそれだけで充分だから』

「当たり前だよ！」

『ふは、かわいな』

「な？！」

『好きだよ、』

「私も」

END

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