短編集 Ⅵ (ページ25)

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「あ、」

有『ん？』

『ん？』

「いや、なんでも、………」

隣のレジを見ると誰も居なくて今あるレジはここだけだった
つまりりょーすけの持っているカゴのアレを大ちゃんに見られると思うと居ても立っても居られなくなりレジからは視界のとこまでりょーすけの腕を引っ張った

『どした？』

「これさ、また今度でいい？」

『ムリ』

「………あのレジの人中学の同級生でその、見られたくなくて」

『逆に見せつけたらいいじゃん』

「いや、逆にって、……」

『じゃあ、買ってくるわ』

「ちょ、本当に！恥ずかしい………………」

そんな私の言葉を無視してレジに向かって行った
最悪という言葉しか出てこないまま先に店を出た
少し待っているとお待たせ〜なんて満足そうな顔をしているりょーすけ

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『俺の知らないAを知ってるとかムカつく』

「仕方ないじゃん」

『そうなんだけとさ』

「………」

『あのセブン1人で行かないでね』

「わかった」

『ゴム買いに行くときしか行かないから』

「それだけはやめて」

話しているとピコンと通知音が鳴る
音的に私のスマホだとすぐに分かり見ると大ちゃんからだった

『誰？』

「大ちゃん、ほらさっきの店員さん」

『何で連絡先知ってんの』

「そりゃあ中学の同級生だからじゃん」

『うざ』

「そんなこと言わない」

『で、なんて？』

「"誰にも言わないから安心して"だって」

『いちいち送ってくるとかそいつAのこと好きじゃん』

「それはないから」

『何で言い切れんの』

「………」

りょーすけによる質問攻め(事情聴取)はいつも私が黙ってしまう、少し下を向いて考えていると掬い上げるようにして唇を重ねてくる
その時に首に添える右手がどこか安心して溶けそうになる
付き合いたての面倒臭いっていう感情は無くてうんざりとするほど見てきた独占欲もいつから求めている自分がいた

『ずっと俺だけ見てて』

「ん、りょーすけだけ…………」

二箱のアレはどれくらいで使いきったのかはご想像にお任せします

END

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