いざ、尋常に

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気休めのような花火の打ちあがる今日。待ちに待った体育祭だ。


「次の種目は、各クラブの主将による、騎馬戦です。 出場する人は、準備してください」


体育祭の司会独特の棒読みアナウンス。 これを聞くのも最後か。



「やいやい谷沢Aさん。わかってますよねえ？」


体操服を出し、ズボンは腰パン、ポケットに手を突っ込んで重心低めで歩いてくる。


「うっわ、典型的なヤンキースタイルださ」


「うっさいねん！ ネタやネタ」


石川はプンスカ怒っている。


「覚えてるやろな？ 約束」


「当たり前」


勝った方の言うことをなんでも聞く、なんとも良い響きだ。 勝てば、の話だが。


「約束って何なん？」


由奈がニヤニヤしながら私に聞く。


「それはやな＿＿」


「俺と谷沢の秘密や！」


何故か遮り、誤解を招きそうな言い方をする石川。


「は？ そんなんちゃうし」


「ふうん。 2人の秘密なんやあ」


由奈は何を期待しているのか。


「騎馬戦、第一トーナメントは、男子テニス部対野球部です」


何はともあれ、戦が、始まる。

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