三十一 ページ32
「またあんたなの? 懲りないねえ」
後ろから聞こえていた足音がぴたりと止まり、代わりに恨みのこもった声が聞こえる。
「懲りないも何も……」
「あんた、結局石川くんと付き合ってんじゃん」
ジリジリと詰められる距離に、怯えがないと言えば嘘になる。女の瞳はまっすぐに私を捉えているし、何をされても抵抗しきれる気がしない。
「石川くんの邪魔しないで!!」
と叫び、そこらに置いてあったビール瓶を私に向けて投げる前。
視界が切り替わった。
「えらい乱暴なお姉さんやなあ」
きっと石川は口角を片方だけ上げる、そんな腹のたつ表情をしているはずだ。
私を襲いかけた女は声も出せないようで、ふるふると震えている。
「もしも俺のファンなんやったら、俺の大切な人を傷つけることなんてせんと、純粋に俺のこと応援してや。 せっかく美人さんやのに、もったいないでえ」
なあんかセリフが古臭い。
吹き出しそうになったのを堪えて、女が背を向け走り去っていくのを見送った。
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にゃあ - はなつーさん» おー!おめでとうございます! (2020年3月21日 0時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
はなつー - にゃあさん» ありがとうございます泣 無事合格してました!! (2020年3月19日 20時) (レス) id: 9942ee8606 (このIDを非表示/違反報告)
にゃあ - 作者様が第一志望に合格しますように。 (2020年3月16日 15時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
にゃあ - 待ってますね。がんばってください! (2019年12月12日 16時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
にゃあ - 受験生さんだったんですね!かしこまりました。再開されるまで楽しみにしています!がんばってください! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
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