★続き★癖書いてる時間が1番幸せ ページ2
鬱先生side
2080年代。
俺は布団に横たわる彼の骨の浮き出た細い手を握っていた。
彼は時折ぜぇせぇと息をして伏せた睫毛を震わせる。
彼の増えた皺の数を数えながら俺は微笑んだ。
「ほんま、歳取ったなぁシッマ」
彼に聞こえるとは思っておらず独り言のつもりだったが彼はこちらを見ると笑みを返す。
目尻に増えた皺でもその笑みの輝きは消えていない。
「大先生はお若いねぇ…」
ゲホゲホと咳き込む彼の肩を擦りながら俺はまた口を開く。
「お陰様で」
その言葉に今度は返事はなかった。
もう聞こえていないのかも知れないし、単に返事をするのが出来なくなったのかも知れない。
静かになった部屋には彼の掠れた呼吸音が響くのみだった。
彼の手がどんどん冷たくなっていく。
肌も乾燥していって彼が軽い脱水症状になっていることが伺えた。
大丈夫。
誰だって死ぬ時はこんな感じだ。
勿論俺は死んだことがないから分からないけれど数多の死に目に出会ってきたからこそ分かるものもある。
けれど今回だけは、今までとは違うと俺の心が叫んでいた。
今までは人間だから死んでしまうのは仕方ない、と諦めていた。
けれど今は。
まだ助かるんじゃないか、って。
まだお前といたいんだって。
思ってしまうんだ。
「大先生」
俺の頬に置かれたカサカサの掌と掛けられた声で意識が帰って来る。
彼の瞳はどこまでも優しい。
頬に置かれた手に手を重ねる。
「そんな顔でせんで、笑顔で見送ってくれや…」
なんて言う彼に笑い返す。
「何言うとんの、もうちょい生きてや」
冗談として言いたかったが、それは俺の魂の叫びだった。
俺の言葉に。
「それは難しいお願いやなぁ…」
ごほり、と咳をしながら半笑いで答える。
俺は声帯が震えてる上手く言葉が出なかった。
そんな俺と彼の目が再び合う。
悟った。
これが最期だと。
なのに、声は出なかった。
「ほんま、ありがとな……」
それだけ遺して彼は目を閉じた。
俺の握る手には力も体温も残っていない。
俺は腹の底から溢れる感情を我慢することなく吐き出した。
「うぁあああぁぁああぁあああぁあ！！！！！」
俺の掠れた号泣が部屋に吸い込まれていく。
享年96歳。
人間にしてはかなりの長生きだった。
死因は老衰。
逞しく寿命を生ききった。
彼の友人も残っておらず、彼の希望もあって葬式は小規模で行われた。
墓も小さく家の敷地内に建てた。
「シッマ…」
掠れた声を漏らして1人残された俺は彼の眠る墓石の隣で目を閉じる。
★続き★画伯注意ですよ〜→←★続編記念！ えいえんのいのち kn×ut ﾀﾋネタ
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ぽっとけーき(プロフ) - ここでのリクエストは更新停止中の続編(https://uranai.nosv.org/u.php/novel/hana2006094/)に書かせて頂きます (8月5日 19時) (
レス) id: 300a10b231 (このIDを非表示/違反報告)
けちゃっぷ - グロい系は地雷なのでその辺よろしくお願いします！ (8月5日 0時) (レス) id: ab3c60d0f5 (このIDを非表示/違反報告)
けちゃっぷ - 初コメ&初リク失礼します！syo×siがみたいです... ちなsiさんは受けでお願いします！ (8月5日 0時) (レス) id: ab3c60d0f5 (このIDを非表示/違反報告)
ミール - クロノアさんが攻めのトラゾーさん受けがみたいです！！ (7月23日 19時) (レス) id: 9c2c150933 (このIDを非表示/違反報告)
憐華 - ぽっとけーきさん» わかりました………！ありがとうございます、！！ (2023年4月26日 0時) (レス) id: fab616ee26 (このIDを非表示/違反報告)
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