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山田side
颯馬が、いつも通り点滴を調整しに来た。だけど、俺は気づいてるよ。朝、会った時と全然違う、暗い顔してるってことに。
山「…なんかあった」名取「…なにも」
ほら、また泣きそうな顔してる。
山「…お疲れ様」名取「え、」山「……頑張ったね」名取「っ…!」
途端に顔を歪ませて涙を溢れさせる颯馬。
やっぱり、無理してたんじゃん。
山「…大丈夫だよ。」名取「っ、なにも、知らないくせに…!」山「助けられなかった?」
名取「っっ…ぅっ…〜っ」ついに顔を覆って泣き出してしまう。動く右手だけで、抱き寄せる。大丈夫だよ、って意味を込めて。
薮ちゃん。早く目を覚ましてよ。君の恋人、辛いって。色んな辛いこと、相談出来なくて、溜め込んで。この子が壊れちゃう前に抱きしめてあげてよ。
名取「っ、現場で、もう、ひどくてっ、ヘリポートまでの道で、切ってっ、直接心臓マッサージしたのっ。だけどね、ダメだった…!!
亡くなる前に、目あけてっっ…ありがとう、って!もういいよって!先生の手で、たくさんの人を救ってって言われてっ!……そのまましんじゃった…っ。何も出来なかったんだ!……結局、なにも」
知「そんなことないじゃん。あの人、ありがとう、って言ったでしょ。何もしてないことない。」名取「だけど!結局助けてあげることも、生きる時間を伸ばすことも!…大切な人に合わせることも、できなかった…」
大「…会ってるよ。あの人。大切な人に、会えてるよ」
慧「あの人にとってはさあ、助けてくれた人が大切な人でしょ!」
中「うん。そうだよ。多分、ずっと会話聞こえてたと思うよ。…ヘリが来るのに準備もせず、ずっと助けようとしてくれたんだもん。…助けたい、って言ってくれた人だもん。」
岡「絶望にいる時、唯一手を差し伸べてくれた人。…強い意志を見せてくれた人。…最後に会ったのが、颯馬くんで良かったって、思ってるよ」
高「かっこよかったけどなあ。あんなに強い意志、初めて見たよ。」光「俺も。すごい変わったなって、思ったもん。昔の颯馬だったら絶対言わなかったもんね。成長した証じゃん」
山「言われたんでしょ?その人に。
『先生の手で、沢山の人を救って』って。だったらくよくよしてる場合じゃないじゃん!」
「俺は…先生してる颯馬、すきだけどなぁ…っ」
名取「…?」
J「っっっ!?!?」
名・J「「「宏太/薮ちゃん!?/薮!?/薮くん!?」」」
薮「お疲れ様。颯馬!
みんな、待っててくれてありがとう(*^^*)」
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作者名:救命医を目指すとびっ子 | 作成日時:2018年10月28日 1時