ペット、始めました。 (ページ5)

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涼「A？俺のこと癒して？」

「…うん」

私のことを斜めしたから見つめる子犬は、見れば見るほど綺麗な顔立ちで、つい見とれてしまう。

吸い込まれそうな大きな瞳、ふわふわした髪の毛、長くて綺麗なまつげ、ふわふわした唇。

なんでこんな人が、私なんかをペットにするんだろう。

疑問に思いながら涼太の手を握る。

「大丈夫、私がいるからね。何かあったらすぐ言うんだよ、いつでも私は味方だから」

そう言って、涼太の手を自分の胸に当て、目を瞑る。

こうすることで、相手のストレスの80パーセントは取れて、安心させれるらしい。

涼「……A」

「…うん？」

涼「…この体制ヤバいんだけど」

「え？」

やばい。自分が無意識にしてることは、涼太にとっては気まずい空気になりかねないことだった。

「ご、ごめんっ、あたし別にそんなつもりじゃ…」

涼「大丈夫だよ、ペットなんだし笑」

私が言い終わる前に言葉を遮って涼太が言う。

『ペット』。涼太の疲れを癒したりご飯作ったり、家事手伝ったり。

所詮、ペットなんだから。

恋愛に発展するなんてもってのほか。

もしも涼太に彼女が出来たら？

私はまた捨てられるの？

「……」

涼「A？」

「…あ、いや、大丈夫。なんでもないよ」

涼「？そっか。さ、歯磨きしよ～」

涼太のことが好きなわけじゃない。
まだ出会って一日目だし。

だけど、所詮ペットなんだって考えたら何故か胸が痛くなる。

私、よっぽど寂しかったんだな。