覚悟を ページ9
マツリがエレベーターに降りていってから数分後。
「どっこいせー!」
キリオのかけ声と共に、マツリが天井裏に飛び出てきた。次いで、キリオとカナタも天井裏に出てきた。皆、焦っている。ということは、まさか。
「どうやって逃げるんだよ!」
「それは――」
ガシャン!と大きな音を立てて、カゴが揺れる。ヒロインの呻き声も聞こえてきた。これは、相当まずい。
「8階!!8階に飛び移って!!ロープ切って!!」
昇降路の壁際に移動した3人に向けて叫ぶ。
一か八かだ。かなり危ないけど、このままじゃ3人とも確実に死んでしまう。
「…っ!キリオ、ナイフ!!」
「はぁ!?忍者じゃねぇんだから、無理に決まってるだろ!」
そうごねるカナタの脚を、ヒロインの指先がかすめる。
本当にまずい。時間が無い。
「覚悟決めてよ馬鹿!!このままじゃ死ぬよ!?」
「…しょーがねーなぁ、やるぞぉ!!」
「嘘だろ、待てよ!」
その制止の声も聞かず、キリオがナイフを取り出してロープを切る。瞬間、支えを失ったカゴが降下を始めた。
「今だ、飛べ!」
マツリの声を合図として、3人が8階フロアへと飛ぶ。そして――。
3人で転がるように着地した。
「よかった……」
「マイちゃん、下がって」
「へ……わっ!?」
昇降機の下の方から轟音が響いたかと思えば、何かの…多分エレベーターの破片が飛んできた。嘘でしょ、ここ10階なのに。ミトが声をかけてくれなかったら、確実に怪我をしていただろう。
「ヒロイン……死んだの?」
「どうでしょうか…。そう簡単には死なないと思いますが」
「怪我してない?」
「うん。ありがとう、ミト」
ミトにお礼を言ってから、再びエレベーターへと視線を向ける。
カゴは、1階まで落下し、ぐしゃぐしゃになっていた。多分、ヒロインは死んでないだろうけど…。
(これで、ひとまずは安心…かな…?)
でも、念のために乗り場から離れた方がいいよと声をかけようとしたときだった。
「……っ!!」
もくもくと昇る土煙の中から見えた、たくさんの手。
…気付いたときには、もう遅かった。
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如月慧音花(プロフ) - いつもありがとうございます!(*^_^*)もう……書いてる時もしんどくて(でも楽しい)……一応まだ続くんですよ(ボソッ (2021年2月8日 15時) (レス) id: e44a9745ad (このIDを非表示/違反報告)
サーナ(プロフ) - 如月様、お疲れ様です!とうとうエンディングが近くなってきましたね…。どんどん切なくなっていく中、とうとう推しも消えてしまい……正直ボロ泣きしてました(泣)どんな最後になるのか、今からでも楽しみです!これからも頑張ってください!(≧∇≦)b (2021年2月7日 17時) (レス) id: b8fd1604f5 (このIDを非表示/違反報告)
如月慧音花(プロフ) - えっ…?(困惑)ありがとうございます私も好きです(??) (2021年2月7日 8時) (レス) id: e44a9745ad (このIDを非表示/違反報告)
モブサイコ100(プロフ) - アッアッアッ…………泣くって…………泣くしかないって…………ヤダ…好きです(唐突な告白) (2021年2月7日 1時) (レス) id: 6acf3cee05 (このIDを非表示/違反報告)
如月慧音花(プロフ) - ありがとうございますー!!もうホントサーナさんには感謝しか出ないです…!そうですね(笑)マイちゃん…結構苦労人ですからね、頑張ってほしいです(笑) (2021年1月5日 0時) (レス) id: e44a9745ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:如月すや | 作成日時:2021年1月4日 14時