2つ目の歯車 ページ7
「抜け駆け？カナタが？」
目を丸くするキリオに、ノゾミが「驚くことじゃないでしょう」と考え込む。確かに、そうだ。ありえないことじゃない。
…そうか、カナタは…焦っていたのか、自分だけ歯車の集まりが悪いから。
「アタシ、ちょっくら見てくるわ。面倒見いいから！」
「あ…」
くるりとターンしてエレベーターへと向かう彼の背中に声をかけようとするが、マツリに「ここはキリオに任せよう」と制されてしまった。さすがマツリ。私のしようとしていることをよくわかってる。
「カナタのヤツ、大丈夫だろうか？」
「焦ったところで、抜け駆けなんて無理だと思いますけどね」
貼り付けたようにノゾミが笑った。全く目が笑っていない。その笑みのまま、ノゾミは私へと向き直る。ちょっと怖い。
「ではキリオさんが戻るまで、俺達は作業に戻りましょうか」
「あ、うん。そうだね」
マツリとミトも、イエクに書類からホッチキスの針を取り外す作業を頼まれたようで、急に忙しくなった。
気になるところを紙に書き込んでいる間も、頭の中にあるのはカナタの事。無事だろうか。ヒロインに遭遇していないだろうか。私に出来ることなんて無いというのに、心配ばかりが頭を埋め尽くす。
「とりあえず、エンディングまで行きましたよ。
気になる所は一通り書き込んでおいたので、また確認しておいてください」
「アリガトー！助かったよ。コレ、お礼に……」
ピロリロリン
また軽快な音が鳴って、ノゾミの前に光る歯車が出現した。その歯車が腕輪に沈み込んでいくのを見ながら、私もイコモツにプリントとスマホを渡す。
「これ、私も終わったよ。面白くて、結構やりこんじゃった」
「ソッカ、面白かったカァ…ありがとう！」
本当に嬉しそうにイコモツが笑う。その隣でミトがあんまり実用性のない才能を開花させていた。ホッチキスの針を外すのは果たして才能と言えるのかは謎だけど。
ピロリロリン
今度はミトの腕輪に歯車がはめ込まれた。ノゾミもミトも、歯車は2つ目だ。どうやらマツリは貰えないらしい。不思議そうなマツリに、ノゾミが面白そうに目を細める。
「だって、ここはゲームの世界ですよ？
人助けだけを繰り返して波風立たずにクリアできるゲームなんて、つまらないじゃないですか」
「それは――」
マツリが何か言いかけた瞬間。
ギギギギギギ！！
部屋中に嫌な音が響き渡った。
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如月慧音花(プロフ) - いつもありがとうございます！(*^_^*)もう……書いてる時もしんどくて(でも楽しい)……一応まだ続くんですよ(ﾎﾞｿｯ (2021年2月8日 15時) (
レス) id: e44a9745ad (このIDを非表示/違反報告)
サーナ(プロフ) - 如月様、お疲れ様です！とうとうエンディングが近くなってきましたね…。どんどん切なくなっていく中、とうとう推しも消えてしまい……正直ボロ泣きしてました(泣)どんな最後になるのか、今からでも楽しみです！これからも頑張ってください！(≧∇≦)b (2021年2月7日 17時) (レス) id: b8fd1604f5 (このIDを非表示/違反報告)
如月慧音花(プロフ) - えっ…？(困惑)ありがとうございます私も好きです(??) (2021年2月7日 8時) (レス) id: e44a9745ad (このIDを非表示/違反報告)
モブサイコ１００(プロフ) - ｱｯｱｯｱｯ…………泣くって…………泣くしかないって…………ﾔﾀﾞ…好きです（唐突な告白） (2021年2月7日 1時) (レス) id: 6acf3cee05 (このIDを非表示/違反報告)
如月慧音花(プロフ) - ありがとうございますー！！もうホントサーナさんには感謝しか出ないです…！そうですね(笑)マイちゃん…結構苦労人ですからね、頑張ってほしいです(笑) (2021年1月5日 0時) (レス) id: e44a9745ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月すや | 作成日時：2021年1月4日 14時
