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時間稼ぎ ページ30

どこからか燃え上がった炎は、先ほどのヒロインのようにあっという間に私達を囲む。



「なっ……くそ、ミトか…!」

キリオが顔を歪ませて、私を解放する。その向こうで、ミトがマツリを引っ張って外に出て行くのが見えた。よかった、逃げられた。

ここで見捨てられるかなと思ったが、意外とキリオは私の腕を掴む。その横で、ヒロインが炎に気をつけながら、もう動くことのないノゾミの体を持ち上げるのが見えた。



「あ……っ」

目を伏せる暇もなく、ノゾミはヒロインの口の中へと消えていった。もう死んでしまったとはいえ、辛かった。




「…おい、追いかけるぞ!」

「うあぁ〜」


ヒロインに声をかけて、キリオが走り出そうとする。腕を引っ張られ、走り出しそうになるも、踏みとどまる。



…2人は、まだ遠くへは逃げられていないはず。私がここでできる限り時間を稼がないと。…きっとキリオは、私を殺せない。マツリに揺さぶりをかけるには、私が1番の材料だからだ。

――そう、それは彼自身の命よりも。



「マイ……っ!」

「行かせない」


わかってる。私じゃ大した時間稼ぎにもならない。でも、やらないよりマシだ。





「どうしたの?邪魔なら、殺せばいいでしょう?
……ノゾミのことは殺せるのに、私のことは殺せないんだ?」


思ったよりも冷たい声が出た。
違う、私はキリオを否定したいワケじゃない。

でも、彼がノゾミを殺したというのも、また事実。


「違…違う、俺は……」



ごめん、ごめんねキリオ。そんな顔させたくないのに、私、こんな酷い事しか言えないや。


――喉の奥にずくずくとせり上がってくる何かは、後悔なのか謝罪なのか。
息が、どうしようもなく苦しかった。辛いのは、キリオのはずなのに。




「………………っ」


キリオが何か言いたげに口を開くが、それを消し去るかのように頭を振る。そのまま何も言わずに、私の手を引いた。





ゼラニウムの瞳が、赤く、赫く、煌めいて。

崖っぷちの“ふたり”→←人質



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如月慧音花(プロフ) - いつもありがとうございます!(*^_^*)もう……書いてる時もしんどくて(でも楽しい)……一応まだ続くんですよ(ボソッ (2021年2月8日 15時) (レス) id: e44a9745ad (このIDを非表示/違反報告)
サーナ(プロフ) - 如月様、お疲れ様です!とうとうエンディングが近くなってきましたね…。どんどん切なくなっていく中、とうとう推しも消えてしまい……正直ボロ泣きしてました(泣)どんな最後になるのか、今からでも楽しみです!これからも頑張ってください!(≧∇≦)b (2021年2月7日 17時) (レス) id: b8fd1604f5 (このIDを非表示/違反報告)
如月慧音花(プロフ) - えっ…?(困惑)ありがとうございます私も好きです(??) (2021年2月7日 8時) (レス) id: e44a9745ad (このIDを非表示/違反報告)
モブサイコ100(プロフ) - アッアッアッ…………泣くって…………泣くしかないって…………ヤダ…好きです(唐突な告白) (2021年2月7日 1時) (レス) id: 6acf3cee05 (このIDを非表示/違反報告)
如月慧音花(プロフ) - ありがとうございますー!!もうホントサーナさんには感謝しか出ないです…!そうですね(笑)マイちゃん…結構苦労人ですからね、頑張ってほしいです(笑) (2021年1月5日 0時) (レス) id: e44a9745ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:如月すや | 作成日時:2021年1月4日 14時

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