処方箋の裏側で 1-4 【ウーユリーフの処方箋】

連動 ページ23

「どうして、みんなで一緒には生き残れない。何がわかったんだ？」

混乱しているのか、マツリがノゾミに尋ねる。
否定してほしい、声がそれを物語っていた。




「…マイさんも、気付いているんでしょう？」

「………違うって、思いたかったけどね」


「…ええ、本当に。
……マツリさん、この世界では、3つのストーリーが同時に進行していたんです」



自嘲してから、未だに何もわかっていないマツリに視線を向ける。

「『ラスト・レジェンド』」

「それと…乙女ゲーム部署」

「え？」



そう、このゲームには3つの物語があった。

1つは、『ラスト・レジェンド』。円果、友喜、圭、乃万、和歌の5人がデビューの権利を争っていた。
1つは、乙女ゲーム部署。アコダム、イコモツ、イエク、アモン、アカウの5人のロボットが乙女ゲームの企画を出し合って、戦っていた。
そして、もう一つは…。



「そして…俺達が脱出しようと試みています。死んだカナタさんと、手伝ってくれているキリオさんを含めて、5人です。この3つは、全て連動しているんですよ」



マツリ、キリオ、ノゾミ、カナタ、ミトの5人。
その5人が、脱出するために…言うなれば1つのパイを奪い合っていた。



「待てよ…マイは？『ラスト・レジェンド』にも、乙女ゲーム部署にも、マイにあたるキャラクターはいなかった。他の人間は…え、NPC…？なのかもしれないけど…」

「完全にイレギュラーな存在か……それか、」


「私も、NPCか。自覚がないだけかもしれない」



言いにくそうにするノゾミに代わり、自分で言う。
自分が、NPC…ノンプレイヤーキャラクターなのかもしれない。この世界だと、それがありえない事ではないのだ。考えたくはないけれど。


「そんな……違う、だって、マイは……」

「マツリ、私はいいんだよ。私は、最初からみんなと違った。腕輪も無ければ歯車ももらえない。それに、私は女だし」



そうだ、最初からおかしかった。

何で『イケメンばかりが吸い込まれる呪いのゲーム』に女である私が吸い込まれる？
ヒロインに望まれた、なんてキリオ達は言っていたけど、何を、どうやって救うのか…今まで、全くヒントがなかった。



「…まぁ、1つの可能性の話ですよ。前者かもしれませんし」




ずっと思っていた事をもう一度考える。
私は……本当に、何のために、何をしにここに来たの？



わかりたい、知りたいのに。

歯車の1つ→←ひとつだけ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す