待ちぼうけ ページ1
『来ないなぁ』
冬の風が肌寒い2月。
中学を卒業して絶賛春休み中の私、夏焼Aは近所でも有名な幽霊屋敷の前に立っていた。
?「だから言ったじゃないですか。きっとその友達とやらは、君をからかっていたんでしょうね。でなきゃ、こんな場所に人間を近づかせたりはしませんから。」
私の横で木にぶら下がりながら、スナック菓子を食べる少年_アマイモンは、心底つまらなそうにそう言った。
『そ、そんな子達じゃない!で す し !!第一貴方に関係ないじゃない!何なのよまったく…いつも勝手に着いてきておきながら文句ばっかり!』
ふいっとアマイモンから顔を逸らせば、ドサッという音がして、何かが近づいてくる気配がする。
___
話は数週間前に遡る。
友達に会いに行く途中、道路に倒れていた彼に親切心で手を差し伸べたのがいけなかった。
お腹がすいて力が出ないと、某ヒーローのような事を抜かす少年に、友達と食べようと用意していたお菓子をあげてからというもの、僕も一緒に待ちます。なんて言われて早数週間。
私が友達に会いに行こうとすると、どこからともなく現れてこうして文句を垂れながらも、一緒に待ってくれるのだ。
___
ア「僕はヤサシイから、忠告してあげているんです。何だか君からは美味しそうな匂いがするし、面白そうな気配がするのでここで喰われるには惜しいと思ったんですよ。」
『お気持ちには感謝するけど…はぁ。確かにそうね。アマイモンの言う通りもしかしたら日付を間違えちゃったのかも。』
花曇りをした空を見上げながらため息混じりに言う。
そんなことは言っていない。なんて、否定する彼に曖昧な返答を返したら家に帰ろうと、アマイモンの散らかしたお菓子のゴミを拾う。
ア「帰るんですか?」
『帰るんですよ。その…アマイモンもありがとうね。こんな時間まで一緒に待ってくれて。君も早くお家に帰りなよ。雨が降ってからじゃ遅いから。』
踵を返してうちに帰ろうとすると、不意に右手を誰かに引っ張られる。
『…なに?』
私の腕を引く張本人、アマイモンに離してくれと抗議の意を込めて聞く。
そんな私の意などつゆ知らず、目の前の少年はあっけらかんと言い放った。
ア「ボク、今帰る家がないんです。」
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あじさい(プロフ) - いちたさん» わア゙ア゙ア゙ア゙ア゙(இдஇ`。)ありがとうございます!不定期更新ですがよろしくお願いします! (1月18日 23時) (レス) id: 8b17fee896 (このIDを非表示/違反報告)
いちた(プロフ) - 大好きです (1月2日 12時) (レス) @page8 id: 37eb9ff948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あじさい | 作成日時:2023年6月30日 21時