検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:23,978 hit

食欲 ページ7

ドンッ

『すみま…ゲホッゴホッ』

咄嗟にぶつかってしまった事を謝ろうかと思ったが、病弱な体に鞭を打ってここまで走ってきたのが祟ったのだろう。

のどを貫くような痛みが私を襲う。

私はその痛みに耐えられずにその場にうずくまって、咳をしてしまった。

すると咳をした拍子に血を吐いてしまい、それ以上言葉にする事が、出来なくなってしまったのだ

(どうだ?そっちはいたか?…チッ!)

遠くで私を探している声がする。

きっと私はこのまま"大人達"に捕まって、一生あの家から出られなくなるのだろう。

嗚呼…嫌だ…

…嫌だ

…あの人に会えないまま死ぬなんて…

『…いゃだ。』

ゼェゼェと息をしながら、惨めに自分の吐き出した血と涙にまみれていると、不意に私の頭上から声がした。

?「貴様、健康そうには見えないな。症状を見たところ結核かそのあたりの病だろう?」

腹に響く低い声。

?「病は辛い、体も細くて弱そうだ。きっと、産まれた時から、病弱なのだろう。」

まるで、自分は理解者だとでも言いたげな話し方にムカついて、なけなしの力で顔を上げると、紅い瞳と目が合った。

?「そんな哀れな貴様に私が慈悲をかけてやろう。






貴様、鬼にならないか。」

私は目を見開くと、その言葉に小さく首を縦に振った。

どの道私はこのままだと、大人達に連れ戻されるか、ここで野垂れ死にするかの選択しかない。

…魘夢には、絶対に会えないのだ。

他の人から見れば、それは俯いただけに過ぎなかったのかもしれない。

でもこの人には、それが了承の合図だと伝わったみたいだった。

首に彼の爪が突き立てられる。

『あ"っ!がっ?!』

何かが流れ込んでくる。

私の体は、その何かに耐えられないのか、やがてミシミシと体の中で、鳴ってはいけない音がし始めた。

しばらくすると、首から彼の爪が引き抜かれる。

私はその場に先程の様にうずくまると、自分の体を抱きしめた。

そうでもしないと、気が狂ってしまいそうだったから。

『う"ぅ"…ぐぁ"ぁ"…』

口が半開きになって、涎がだらしなく垂れている感覚がする。

お腹が空いた。

腹が空腹で、焼き切れてしまいそうだ。

そうやって、必死に空腹に耐えていると後ろから声がする。

男「!!居たぞ!こっちだ!」

私はゆっくりと、その声のする方へ顔だけ向ける。

美味しそうだなァ…

私が我慢していると思ったのか、赤い瞳の彼は、こんな私の為に許可をくださった。

?「喰ってもいいぞ。」

名前→←殺 害?



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (50 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
74人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 魘夢 , 十二鬼月
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あじさい(プロフ) - REDさん» ありがとうございます!そう言っていたたげて嬉しいです!がんばります! (2021年1月4日 15時) (レス) id: 68023a472a (このIDを非表示/違反報告)
RED(プロフ) - 初めましてです。イラスト可愛いですね。これからも頑張って下さい。 (2021年1月3日 19時) (レス) id: 81d97b802d (このIDを非表示/違反報告)
あじさい(プロフ) - pookyさん» コメントありがとうございます!ご期待に添えるように頑張りたいと思います! (2020年12月29日 13時) (レス) id: 68023a472a (このIDを非表示/違反報告)
pooky - 面白いですね!続きが気になります!お体に気を付けてくださいね ! (2020年12月29日 9時) (レス) id: 012e567f90 (このIDを非表示/違反報告)
あじさい(プロフ) - 盃と餅さん» コメントありがとうございます!亀更新ですが、よろしくお願いします! (2020年12月27日 15時) (レス) id: 68023a472a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あじさい | 作成日時:2020年12月26日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。