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HN side
何徹目だ……
作業をしているとあっという間に時間が過ぎてしまう。
無理矢理、脳を起こすように、エナジードリンクを胃に流し込む。
椅子から勢い良く立つと、目の前がグルグルしてよろけてしまう。
「くっそ、」
折角、ショーケースが決まって本格練習が始まったのに、
ここで休むなんて…絶対できない。
作業室から移動して練習室に入ると、Aさんと目が合う。
「お疲れ様です、」
そう言ってAさんは俺の横を通り抜けた。
嫌われてんなぁ、
まぁ、それもしょうがないか、
別にAさんを嫌いな訳では無い。最初は受け入れられなくて、無視とか色々してしまった。
謝りたいけど、タイミングが見つからず…
内向的な自分が嫌になるな、
ふとAさんに目をやると、スンミナと楽しそうにストレッチしながら話していて。
あんな、笑顔するんだ
羨ましい、なんて柄にもなく思ってしまう。
そのまま見つめていると、Aさんと再び目が合う。
なんだか、身体がやけに暑い。
あ、やべ、フラフラする、
「ジソンア?大丈夫か?」
異変に気づいたチャニヒョンに声を掛けられた瞬間、俺はスイッチが切れたように、その場に倒れた。
「…ソン…ん!」
誰かに名前を呼ばれた気がするけど、起き上がれる気力なんて無い。
ふわっと身体が持ち上がる感覚がする。
誰かが運んでくれているみたいだ。
この匂い、なんだろう…いい匂い…
微かに香る石鹸のような清潔感のある匂いに、安心して瞼が落ちてくる。
「ジソンさん、あとちょっとで着きますからね。」
あぁ、なんて君は優しいんだろう。
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作者名:LUNA | 作成日時:2024年2月11日 0時