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休憩が終わった後も、注文をとって料理を運んで…やっぱり遅いけど、なんとか業務をこなすことができた。
望くんは雑貨の担当らしく、時折雑貨コーナーからヒラヒラ手を振っている。
重岡さんは私と同じカフェのホール。
お客さんともフランクに話をしていて、すごいなあと思った。
それでも私には
「これ。あそこに運んで」
『は、はい！』
会話終了。まあ、仕事中だから当たり前なんだけど、ちょっとそっけなく感じてしまう。
それでも時間は過ぎていくもので、
「お疲れ吉川さん」
『中間さん。お疲れさまです』
「初日からフルで働いてくれてありがとうな。もう店閉めるから」
時計を見ると夜の8時。カフェの閉店時間。
『じゃあホール掃除してきますね』
「ええよ。初日なんやし。後は俺らに任せて」
中間さんは「な？」と桐山さんや藤井さんに同意を得るように顔を見やる。
「せやで？疲れとるやろうし、今日はゆっくり休み？」
「俺もフルで入ったから帰ってええ？」
「流星？せっかく淳太くんがかっこよくキメてるんやからそこは同意しとこ？」
「冗談やん。お疲れ吉田さん」
「お前何回間違えんねん！吉“川”な」
中間さんがツッコむ。そこまで間違えるならもう吉田でいいです、藤井さん。
『でも…新人が先輩より先に帰るなんて』
自分ばかり楽をしてるんじゃないかって、思ってしまう。今日だって仕事が遅くて迷惑ばかりかけていたのに。
「ええって。明日も朝から入ってもらうから今日は帰ってはよ休んで？」
あまりに優しく言ってくれるから、私は頷くしかない。
『…ありがとうございます』
「えー！Aちゃん、帰んの！？俺も帰りたい」
「はいはい。望、あともうひと頑張り」
望くんは桐山さんに背中を押されて雑貨コーナーに戻っていった。
ーーーーーー
朝入った正面の入り口とは反対側にあるスタッフの出入り口から出る。
まだ働いている人がいるのに本当にいいのかなと、罪悪感が残るけど、あそこまで言われてしまったら帰るしかない。
『ふぅ』と軽くため息をついたと同時に後ろの扉が開く。出てきた人物は重岡さんだった。手にはゴミ袋。
じっとこっちを見ている。
『あ……』
そっか邪魔になってる。
横に避けると、ガサッと袋をゴミ捨場へ置いて、店内へ戻ろうとする。
すれ違う時に、ぼそっと「お疲れ」と聞こえた。
え！？と振り返るともう重岡さんの姿はない。
少し口角が上がる。
うん。明日も頑張ろう。
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作者名：はなこ | 作成日時：2019年5月13日 22時
