【実況者】帰ってきた歌姫【ky】

#6 過去編2 ページ9

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昨晩、母が亡くなった

末期がんだった



私が大学生の時にがんを発症し、そこからずっと入退院の繰り返しだった。
父は私が幼い頃に事故で亡くなっていて、私はとうとう母まで失ってしまった


女手一つで私を育て上げてくれた母。
病気になり働けなくなった母を見て、恩返しするのは今しかないと大学を辞めて働き始めた。



母の治療費、入院代に加え日々の生活費やいまだ残っていた自宅のローンの支払いなど必要なお金はかなり多かった
入院費を差し引いたとしても今まで母はこれを一人で稼いで賄ってきてくれていたのかと思うと、頭が上がらない思いになる。



「ごめんね、私のせいで苦労かけて…」
「お母さん、謝らないで？早く治して、また一緒に帰ろうね」




お金は必要だったけど、大学を中退した身な上時期も悪く、正社員で働くことはできなかった
なのでその分いくつもアルバイトを掛け持ちして朝から晩まで働いた。


早朝の新聞配達、ホテルの朝食スタッフ、パチンコ店など、少しでも時給の高い職場を求めて…
また、夜は夜で母の見舞いに行った後、繁華街にあるガールズバーで働かせてもらっていた。


どの職場もシフト制なのでそれぞれ休みはあるものの、どのバイトも入っていない完全な休日というのはここ数年間ほぼ無いに等しかった





あれだけ好きだった歌も、母の入院と同時に投稿を辞め
未練が残らないように関係するSNSのアカウントもすべて消した。


それでもやはり、あの世界を諦めきれなくて
いつかきっと、元気になった母と一緒に暮らす家で
もう一度活動ができるのだと


そのために今が踏ん張り時なんだと、
そう思って頑張っていた。





だけど



母は死んだ





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