035 ページ5
.
---side K
「Aさん！！」
彼女の部屋の玄関前まで来て、迷うことなく名前を呼びながらドアを開ける。
幸い鍵はかかっておらず、簡単に家の中に入ることができた。
急いで靴を脱ぎリビングまで行くと、
「何してんだテメェ！！」
「なっ……！？」
壁際に追い詰められうずくまり、自身を守るように頭を押さえるAさんと、そんなAさんを蹴りつけようとでもしているのか、足を上げ対峙している男がいた。
考えるよりも先に男を羽交い締めにして止める。
「っく、…はな、せ！」
「Aさん！早く！今のうちに外出て！」
なんとか俺から逃れようとする男だが、俺のほうが背が高かったのもあってか逃げることは叶わずじたばたともがいている。
呆気に取られてしまっているAさんに叫べば、彼女もハッとして立ち上がろうとする。けれど既にどこか怪我をしているのか、動きが鈍い。
「邪魔…すんじゃ、ねえ！！」
彼女に意識を取られているすきに、男がするりと俺の腕から抜ける。
やばい！！
「お前の、お前のせいで…！俺を裏切りやがって！！」
男がなんとかして逃げようとしていたAさんに向かっていく。
間に合え！
間に合え…！！！
「っ……！」
「キヨくん……！！」
男の腕が彼女に届くより早く、俺はAさんを抱きしめるように覆う。
同時に背中に走る衝撃。蹴られたか、殴られたか、どちらかわからないがそれでも彼女がこれ以上傷つくことが無いように、きつくきつく抱きしめる。
彼女が悲痛な声で俺の名前を呼ぶのが聞こえる。
「なんなんだよテメエ！どけよ！！」
「どかない」
安心させるように彼女の頭を撫で、男の目を真っ直ぐ見据える。
「もう二度と、指一本Aさんに触れさせない」
男を睨みつけるように言い放てば、男は「ぐっ…」と一瞬怯んだように息を詰める。
その時だった。
「警察だ！！！」
玄関のドアが大きく開け放たれる音と、同時に聞こえてきた声に
俺はようやく身体の力を抜くことができた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 196人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なちこ(プロフ) - Suiminさん» コメントありがとうございます！返信遅くなってしまいすみません💦歌姫も読んでくださってるとのことで、私もとても嬉しいです♡ありがとうございます！更新停滞気味ではありますが歌姫も、別の連載も構想はありますのでこれからも頑張ります！ (2022年7月20日 11時) (
レス) id: b338af306c (このIDを非表示/違反報告)
Suimin(プロフ) - この作品と、帰ってきた歌姫 の作品どちらも大好きで何周も読ませてもらってます！まさか同じ作者さんだと思わなくてびっくりですw！ 他の作品も読んでみようと思ってます！これからも頑張ってください！ (2022年7月13日 12時) (レス) @page15 id: 2c7a607a36 (このIDを非表示/違反報告)
なちこ(プロフ) - トマトまとさん» トマトまとさん コメントありがとうございます!!カレーのシーンは私も書いていて凄く楽しかったです!なのでそう言っていただけて、素敵な作品なんて本当に嬉しい言葉もいただけて感無量です😭こちらこそ、読んでいただいて、感想もくださってありがとうございました！ (2022年4月5日 21時) (レス) id: b338af306c (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 完結おめでとうございます!一気読みさせていただきました。最俺のみんなとカレーを食べてワチャワチャしているシーン大好きです!!!!最終的に主ちゃんが幸せになれて、ヒーローものらしくていいなぁと思いました!素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました。 (2022年4月5日 0時) (レス) @page15 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
なちこ(プロフ) - ぽんさん» 編集途中で保存されてしまっていたようです。現在フラグは外してあります。ご指摘ありがとうございました (2021年3月11日 21時) (レス) id: d3058cd882 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なちこ | 作成日時：2021年3月11日 21時
