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「適当に座ってください!散らかっててすみません」
4人をリビングに案内し、ダイニングテーブルを指差す。
アンティークの中古屋で一目惚れして買った大きめのダイニングテーブル。普段は四人がけだけどお誕生日席と予備の椅子を使えば5人座れるそれを見て「大きいの買っといてよかった」と心底思った
「いやいや、この部屋が散らかってるなら俺らの部屋どうなんの」
「腐海だよ腐海」
こーすけさんとヒラさんが笑いながら言う。
そんなに酷いんだろうか?4人もそれぞれ席についたので私もキッチンへと行き準備を始める。
ダイニングキッチンなのでキッチンからテーブル間での会話はできるのが便利なところである。
「皆さん嫌いな具材とかありますか?」
「むしろ何が入ってます?」
「至って普通ですよ。にんじん、じゃがいも、たまねぎにお肉…」
こーすけさんの問いに答えればお肉、まで言いかけたところでフジさんとヒラさんが大げさに「ああ〜〜!」と叫びながら笑う。
あれ、駄目なものあったかな?
「こいつ、野菜だめ」
フジさんの指差す先にいるのは、なんだか不貞腐れたような照れたような顔をしたキヨさん。
「えっ、全般ですか?」
「そ、こいつ昔から野菜は食わんべ」
「子供みたいですよねえ」
「うるっせえな!キャベツと芋は平気だし!」
「じゃあキヨさんのにはじゃがいも以外の野菜入れずにお肉いっぱい入れときますね…あ、でも玉ねぎほとんど溶けちゃってるんですけど平気です?」
「固形じゃなければ!」
「固形」
「固形て」
「あーー黙れ黙れ!」
皆のやりとりを聞いて、笑い声を聞いて、私もくすくすと笑ってしまう。
久しぶりに楽しい夕ごはんになりそうだと、人数分のお皿にご飯を盛り付けていった。
「お腹空いたなあ」
わちゃわちゃと言い合うキヨさん、こーすけさん、フジさんの横でヒラさんがポツリと呟いた言葉に、私はさらに笑ってしまった。
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作者名:なちこ | 作成日時:2021年3月2日 4時