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今日は久々に彼氏とデートの日だ。いつもより少しおめかしをして、彼との待ち合わせ場所に向かう。彼は私と同じ年、仕事の取引先の人に紹介してもらって知り合った仲だ。
「今日、Aが気になるって言ってたイタリアン行こうか」
「ほんと！？ 楽しみだなあ」
彼は優しく、穏やかで、かつスマートだった。なかなかに優柔不断な私をいつもリードしてくれていたし、それが押し付けがましくなく優しさからくるものであると伝わる。
私は彼のことが好きだったし、これからもこんな幸せが続くのだと、そう思っていた。
「なんかいいことあった？」
「え？」
食事が終わり、食後のデザートとコーヒーを楽しんでいたとき、ふと彼に問われる。
「なんか、楽しそうな顔してたから」
「う〜ん…？あ！お隣さんと仲良くなれた！」
最近あったいいことを思い返したとき、ふと頭に浮かんだのは先日のコンビニでのキヨさんとの出会い、そしてフジさん、ヒラさん、こーすけさんとも知り合ったことだった。
「……お隣さんって前言ってた夫婦？引っ越したんじゃないの？」
「逆隣りさんだよ〜コンビニで会ってちょっと話す機会があって」
逆隣りのご夫婦もそりゃあ良くしてくれたし、引っ越してしまったのは悲しかった。
集合住宅で近隣をあまり気にしなくていいというのはそれはそれで気楽かもしれないが、元々近所と蜜に接していたような田舎が実家だったために、やはりご近所付き合いが無いというのはなんだか寂しくなってしまうものなのだ。
「……ふーん」
「……？」
このときの彼の違和感に、すぐに気がついていれば。
今更後悔しても遅いことだけど
私は何度だって後悔してしまうのだ。
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作者名：なちこ | 作成日時：2021年3月2日 4時
