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とりあえず、この土日はまだいつ彼氏が家に来るかわからないということで取り急ぎキヨくんの家に避難させてもらうことになった。
大急ぎで２日分の着替えや外泊するためのスキンケア用品、月曜にそのままキヨくんの家から会社に行くので仕事用の服なんかもまとめて旅行用のカバンに詰め込んで家を出る。
もしものことを考えて、キヨくんが家の玄関前で待機してくれている。
「お待たせ！」
なんとか15分足らずで準備を終え、キヨくんがすでに呼んでおいてくれたタクシーに2人して乗り込んだ。
キヨくんが運転手に住所を伝えると車は発車し、見慣れたマンションが、景色が流れ、段々と小さくなっていく。
「とりあえず、スマホの電源は切ったままの方がいいな…。変な、位置情報探るアプリとか入れられてるかもしれないし」
「位置情報…そっか、そうだね。うん」
家に帰ったときから、キヨくんの勧めで電源を切っておいたスマホの真っ暗な画面を見つめる。
今も彼氏からの私を責める連絡が大量にきているんだろう。
いつもならその着信音に怯え、急いで返信しなければと慌てるが、電源を切っているからか、
それか、隣にキヨくんが居てくれるからか、恐怖も焦りも微塵と湧いてこなかった。
「ていうか、すごい今更なんだけどさ」
「うん？」
キヨくんがぽりぽりと頬をかきながらこちらに伺う
「嫌じゃない？」
「え？」
「いや、急にこんな事になっちゃったからさ…たいして知らない男の家に行くの怖かったりしないかなって…」
「ううん、そりゃあ全然知らない人だったら別だけど、キヨくんならね…なんでかな、怖いとか嫌だとかあんまり思わないんだ」
「……っ」
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作者名：なちこ | 作成日時：2021年3月2日 4時
