明け方の暗黙/末広 ページ10
「私、≪猟犬≫やめよっかな」
彼女は、月光に照らされた空気の中で、
何気無いように、独り言のように云った。
鐡腸は対して驚いた様子は見せなかった。
「Aが辞めたいなら、別に止めない」
と、机上の小さな皿に手を伸ばし、小さな洋菓子をつまむ。
鐡腸がそれを口に入れると、Aは手元のマグカップを手に取り、
愉快そうに微笑んだ。
「ふふ、意外だなあ。期待しててあげたのにさ」
「Aに指図する権利は俺に無い」
何時にも増して儚い笑みのAは、
鐡腸と同じ洋菓子を口に運んだ。
鐡腸は変わらない無表情で前に座るAを見ている。
その視線に気付いたAは、軽く微笑んだ。
泣いているようなその微笑に、鐡腸は何故か目を背ける。
「何故、そんな冗談を云った?」
「何でだろうね。優しさが恋しくなったのかも」
頬杖をついて、満足そうに笑った。
Aの笑みには、いつも影が隠されている。
鐡腸は其れに気付きながらも、訊く事が出来ないまま、こうして談笑していた。
内心ではAの自死を疑って、いつも顔色ばかりをうかがっている。
だが彼女は道化をするのが得意だった。
何を考えているのか、何に怯えているのかさえ判らない。
「さてと、今日はお開きにしよっかな。…先に失礼するよ、ばいばい」
ほら、この言葉だ。
「ばいばい」と云う言葉に、最期の影がさしている。
「うん」
青年は、手を小さく振って、少女を見送った。
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抹茶党 - ドスさんと末広さん推しの抹茶党でございます。どんどん鉄っぁん(鐵腸さん)書いて下さっていいんですよ!?ネタ提供として(夢と葉桜)と言う曲と(上弦の月)が末広さん夢に合いそうな気がします。どうでしょうか? (2018年7月12日 21時) (携帯から) (レス) id: 28273e2d77 (このIDを非表示/違反報告)
涼水蓮 - 猟犬いいですよね!私も探していたのですがあまりなくて…。作ってくださってとても嬉しいです! これからもちょこちょこ覗きに来ますので、更新頑張って下さい!!応援しています(*´∀`) (2018年7月9日 23時) (レス) id: e5ae371d78 (このIDを非表示/違反報告)
怜希(プロフ) - オリジナルフラグを外してください。オリジナルフラグのレ点を外すだけです。違反ですよ。 (2018年7月5日 2時) (レス) id: a102b15976 (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグちゃんと外しましょう。違反行為です (2018年7月3日 7時) (レス) id: 090374d4cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:川寺華 | 作成日時:2018年7月3日 0時