明け方の暗黙/末広 ページ12
＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊
結局、手あたり次第捜索したが、
Aの発見には至らなかった。
何も、見つからなかった。
あれからも連絡には出ず、電源が切れているらしいままであった。
「何処に行ったんだ…？」
独りごちても、先にあるのは虚無だけだった。
一体誰が悪かったのか、誰の所為でこうなったのか。
自問自答を繰り返す中で、当て嵌まるものは凡て自分である事に気付いた。
否、本当は気付いて居た。
何故、あの時、気付いてあげられなかったのか。
「…………………………なんで」
自己嫌悪。
こんなにも己を絞め殺したくなった事はなかった。
『軍警最強の特殊部隊の少女 自決か』
小さな見出しで新聞に書き出されたその記事は、もう随分と前の物になる。
「鐡腸、早くせんか。花が枯れるぞ」
「まあ、そう急かすな、��子君。そう早くは枯れん」
何時ものように豪快に笑う福地と、
何時ものように福地に軟化した態度を見せる大倉。
「鐡腸さん、あれ持ちました？」
何時もと変わらない声色で条野が鐡腸に話し掛けた。
鐡腸は手元を確認し、
「持った」
「じゃあ早く行くぞ」
Aの墓は、小さなヨコハマ市内の墓地にあった。
ひっそりと佇んでいる、と云う言葉がしっくりくる。
Aが気に入りそうな場所だった。
大倉があんなに急かすのは、
早く行かないとAが暇しているように思えたからだろう。
「A−、来てやったぞー」
大倉が上機嫌に走りだす。
鐡腸達は後を歩いて追いかけた。
「副長、先に行かないで下さい！」
条野が声を掛けたが、機嫌の良い大倉には聴こえなかったようだ。
やっと墓の前まで追いつくと、Aはすぐ近くに居るようにも思えた。
「じゃあ私は水を掛けるので、鐡腸さんは花を添えて下さい」
条野から手渡された花は、菫やカスミソウの花束だった。
部隊の皆で選んだものである。
「あれぇ、それ私の好きな花じゃん」
何処かから、Aの声が聴こえた気がした。
「……うん。……元気か？」
「うん、こっちもなかなか好いよ」
墓の上にでも座って居るのだろうか。
「これ、返す」
「ああ、それ？別にいいのに、…ありがと」
鐡腸は墓に懐中電灯を置いた。
生前Aが持って居た物だ。
「じゃあ、またな」
≪猟犬≫は墓に背を向けて歩き始めた。
大倉も、誰も居ない墓に手を振る。
生暖かい春風が鐡腸の頬を撫でる。
案外、Aは近くに居るのかも知れない。
終わり
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抹茶党 - ドスさんと末広さん推しの抹茶党でございます。どんどん鉄っぁん(鐵腸さん)書いて下さっていいんですよ!?ネタ提供として(夢と葉桜)と言う曲と(上弦の月)が末広さん夢に合いそうな気がします。どうでしょうか？ (2018年7月12日 21時) (携帯から) (
レス) id: 28273e2d77 (このIDを非表示/違反報告)
涼水蓮 - 猟犬いいですよね!私も探していたのですがあまりなくて…。作ってくださってとても嬉しいです! これからもちょこちょこ覗きに来ますので、更新頑張って下さい!!応援しています(*´∀｀) (2018年7月9日 23時) (レス) id: e5ae371d78 (このIDを非表示/違反報告)
怜希(プロフ) - オリジナルフラグを外してください。オリジナルフラグのレ点を外すだけです。違反ですよ。 (2018年7月5日 2時) (レス) id: a102b15976 (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグちゃんと外しましょう。違反行為です (2018年7月3日 7時) (レス) id: 090374d4cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：川寺華 | 作成日時：2018年7月3日 0時
