目の前にいることは秘密 ページ5
．
．
Aと付き合っていることは誰にも言っていない。言う必要が無いのと、周りにとやかく言われるのが嫌だというお互いの考えが一致した。
世間的には俺がAの家に転がり込んだところまでは話しているけど、今の話はどこにもしていない。
仕事から帰る時は別々に帰っているし、部屋に入る時間もズラしている。
『今日冷蔵庫の中なんもないし買いに行かなきゃだよ〜、裕一郎手伝って』
「一緒にいるところ見られたらどうすんの」
『マスクと帽子被れば問題ないって』
「それでも気付くやつは気付くんだよ」
『もう〜じゃあ行ってきます〜』
声優としての露出が増えてから、二人きりで出掛けたことがない。公表したらそんなのとかなくなるんだろうか。色々考えることはあるけど今の暮らしで充分だと思う。
『ただいま〜重たかった〜』
「ありがとう」
『今日オムライスでいいかな？』
「うん。楽しみ」
『あんま食べ物に興味無いくせに〜』
「うるさ、Aが作ったのは別なんだよ」
『なにそれ、いきなり可愛いこと言うのやめなよ』
何が可愛いんだか分からないけどまあいい。
『あー、玉ねぎが虐めてくるよ…うう…』
「代わるよ」
『代わって〜目が痛い…泣いちゃう』
「もう泣いてるじゃん」
みじん切りの選手交代をして刻み始めた。
痛いけど涙は出てこない。
『え！？なんで！？』
「なんでだろうな」
『ずるいよその能力！ねえ〜』
「ちょ、危ないって。いきなり抱き着くな」
『羨ましいのハグ』
「一方的だな。はい終わり」
『ありがとう。じゃあ次は…』
「ちょっと待て」
『え』
一方的に抱き着いてきて、こっちの気持ちは無視なのか。
手を洗ってAを抱き上げてソファーに置いた。
その上に跨って見下ろすと、みじん切りで出た涙のせいで少し濡れた瞳がこちらを見つめていた。
「その顔可愛い」
『どんな顔？』
「ん、泣き顔」
『玉ねぎのせいだし』
「もっと泣かせていい？」
『ご飯食べてからにしよう』
「無理」
飯より良いものが目の前にいるのに我慢するなんてこと出来なかった。あとでこっぴどく叱られたけど、その顔でさえも可愛いと思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 730人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男性声優」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
p@n@(プロフ) - のぞみさん» コメントありがとうございます。このお話に関しては、続きは作っておりません…今書いてるものが完結したら、似たようなお話にはなってしまうかもしれませんが、梅原さんとのお話を書く予定です！コメントして頂いたのに申し訳ございません。 (2021年5月29日 10時) (
レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ - 面白いです。続きはないんですか？ (2021年5月29日 8時) (レス) id: 90a3a483bc (このIDを非表示/違反報告)
chimo(プロフ) - 永遠に幸あれ完結お疲れ様でした！とてもほっこりして素敵な作品でした！次回作西山さんということで楽しみにしておりました！引き続き愛読させて頂きます！ (2021年1月31日 16時) (レス) id: f2165dc798 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - めちゃくちゃドッキドキやな…って感じです。ありがとうございます…… (2021年1月25日 23時) (レス) id: e5cbfbc5c1 (このIDを非表示/違反報告)
p@n@(プロフ) - さきさん» コメント、リクエストありがとうございました！！書いていてとてもドキドキしました……これからもよろしくお願い致します！ (2021年1月25日 23時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：p@n@
| 作成日時：2021年1月9日 0時
