★冨岡義勇×羽織を着てみた�� ページ10
｢……あまり、そのような真似をしてくれるな。｣
……引、かれた……。
…確実に引かれた……。
『…っそ、そそそそうですよね！ほんと気持ち悪いですよね…！』
｢…そんなこと言ってな『…っすみません…！』…。｣
…完全に怒ってる…。
いやそうですよね普通そうなりますよね…。
『…う……ごめんな、さい…』
溢れそうになる涙を必死に堪える。
｢…何故泣く。｣
表情は変わらないものの、僅かに戸惑いと困惑を含んだ声色。
困らせたくないのに。
『…引きました、よね…？人の羽織…勝手に着て、匂い嗅いでる、とか…。』
……自分で言っていて物凄く嫌になる。
……本当に変態じゃないか。
『…で、も…寂し、くて…。』と、言い訳をする子供のようにそう付け足す。
言い訳なんてしたらもっと呆れられてしまうのに。
｢…引いてない。｣
そう言いゆっくりと近付いてくる。
｢…むしろ、寂しい思いをさせてすまなかった。｣
『……ぅ、え』
そう言うと彼は羽織ごと私を抱きしめてくれる。
『…う…、嫌いに、ならないで…くだ、さ…』
｢…そんなこと、あるはずがないだろう。｣
静かにそう言いながら、子供をあやすかのように優しく背中を叩いてくれる。
普段は分かりづらいけど、こういう優しいところが好きなんだよなぁ。
｢…それに。｣
｢…俺も……少し、…寂し、かった…。｣
消え入りそうな程に小さくそう言うと、更に強く抱きしめられる。
『…じゃあ、私の服、着ます…？』
｢…遠慮する。｣
冗談を言ったら、断られてしまった。
それでも、すぐ調子に乗ってしまう私に対し、義勇さんはいつも優しい。
｢………だろう。｣
『え？』
｢…羽織を着なくとも、……俺がいるだろう。｣
拗ねたようにそう呟く彼は、本当に愛らしい。
『…へへ、そうですね。』
笑ってそう返す。
『…一生好きです。大好きです。』
｢……あぁ。｣
『…あれ、義勇さん、顔赤くないですか？？』
｢…煩い。｣
そう言い彼は隠すようにして顔を背ける。
『照れてるんですか？？』
｢……。｣
『(…可愛い…。)』
｢(…羽織姿…とても、愛らしかっ……。
……何を考えているんだ俺は…。)｣
──────────────
羽織を着ただけでなんと壮大な…。
そして前の煉獄さんとのデジャヴ感…。
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作者名：塩津 | 作成日時：2019年10月13日 14時
