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騒ぎを聞きつけた野次馬は、面白半分に列を乱し
颯爽と声のした方角へ駆けていった。



反対に場の流れに置いていかれた俺は、何がなんだか分かっておらず漠然とした気持ちを抱えたまま一旦は雰囲気に身を任せて走り出す。


この行動が、何かしらのフラグにならないといいが。





そして
問題の売店に着き、俺は思わず息を呑んだ。




騒動の中心部にまで近づくと、可哀想なことに数十匹単位のオーディエンスたちに取り囲まれていたのはなんと
俺と同い年ぐらいの少年であることが判明。



年端も行かない子供を怒鳴りつけるような出来事が?

誰かに聞きたくとも
この空気感で聞ける勇気、俺にない。




切らした息を整えきったところで。不躾だが、ぴんと聞き耳を立てて参考人の話を盗み聞きする。






モブ「ら…さ、金払わ……たんだって」

モブ「食い…げってこ、と」

モブ「そ、…で逃げようと……た時に」






(あっ、ふーん……そー?)




微かに聞き取れた全然平和そうな話に茫と立ち尽くす。
食い逃げ未遂はたしかに悪いこと、ではあるが俺の想定した最悪の比じゃない。


というか案外拍子抜け。



そうなった以上は仕方ないが、どちらにせよ俺の手に負えるものでもなかったし今回の件はなかったことにしよう。そうしよう。


だが運の悪いことに素知らぬ顔で去ろうとするも、かなりの人が集まっている所為か運悪く帰るタイミングを逃してしまった。

今日はつくづくツイてない。




見物客たちの波が引いていくまで待機しながら、深夜徘徊が親にバレた際の言い訳を考えている最中。




行人の口から聞き捨てならない事実が飛び出してきた。






「スラムの子か、ありゃ自警行きだな。」






たった一小節の単語に背筋が震える。
不意に、赤ん坊の頃より母に言われていることが頭を過った。



ここ周辺、というよりこの国は治安が悪い。



からこそ“自警団”といった民間人の集団が悪事を取り締まっているのだが、それもまた行きすぎた粛清になってしまうケースが多いそう。

別に助ける義理はない、けど。


こんなの面倒事になる予感しかしないのに。今にも溢れ落ちそうな蒼が、俺の視線を捕らえて離さない。



自分の傍で子供の人生が掛かってるんだ。
他人とはいえどもその人の未来が潰されでとしたら、そりゃこっちだって夢見が悪くなる。





だから、決して食い逃げ犯の顔が良くて釣られたとかいう不純な動機ではない。ハズだ。



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雛乃(プロフ) - ゼロさん» コメントありがとうございます。できるだけ早く続きを公開できるよう努めます! (11月5日 21時) (レス) id: e4701a63e5 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - 続きが気になります!更新を楽しみに待ってます!!! (11月5日 17時) (レス) @page17 id: b291809af8 (このIDを非表示/違反報告)
雛乃(プロフ) - ロア……のスマホ版のようださん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (10月18日 18時) (レス) id: e4701a63e5 (このIDを非表示/違反報告)
ロア……のスマホ版のようだ - 好きです!最高です!最新楽しみにしています! (10月18日 18時) (レス) @page4 id: 4dffd0e6b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雛乃 x他1人 | 作成日時:2023年10月17日 13時

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