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…こんなこと冒頭に言うのもなんだが
考えなしに勢いで勝手に出てきたのはいいものの、既に俺の決意は若干揺らぎ始めていた。
前回までのおさらいだが俺は精神的には前世の状態に近い、たださりとて体は立派な乳幼児。
いつもならこの時間に呑気におねんねしてるのだ。
まず第一に、寝ることが仕事なのだから夜の行動は極端に向いてないのは自明の理。
だってまだこっちじゃ人間5年生だ、無理もない。
頭の中で余計な口を挟みがてら
眠気で閉じかかった瞼を擦りつつ、煌々と夜を照らし出すあちら側へと軽い足取りで歩み寄る。
『ッわ、ぁ………!』
目的地に着いた途端、とにかく沢山の ︎ ︎“色” ︎ ︎に囲まれて
かつてない情景に自然と声が漏れた。
閑静な住宅街近くに所狭しと敷き詰められた屋台には、夥しい数の人、人、人がいくつか列を連ねて夜中だというのに大いに賑わっている。
(これが噂の夜市)
モブ「おっそこの可愛い嬢ちゃん!寄ってかないか?」
モブ「おつかいか、偉いな!
今ならおまけつけるから買わないか?」
モブ「安いよ買ってきな!あれーべっぴんな子だね」
『…んー』
数分後、入ってすぐ人混みに埋もれるかと思ってたのに現実はその逆。周りの客はむしろ何故か一定の距離を保って、各々で楽しんでいる。
統率が取れすぎている。ここはコミケ会場か何かか。
それなのに比較的大通りを選んで歩いてきたはずが、毎回と言っていいほど客引きに掴まるのは本当に謎でしかない。
途中で知らないおじさんから貰ったフルーツ飴らしきものを片手に、ほかの屋台に目星を付けていると何やらジロジロと視線が。
(なんだ、この飴ならやんない……けど…?)
振り返った先にいたのは、反対側通路のグループ1列。
近辺の人に至っては、小悪魔さながらの顔面パワー(笑)にやられたのか
訳も分からず菩薩顔でケバブを塊ごと買っている。
その中の一人の九つくらい歳が離れてそうなお姉さんに手を振られたが、プイとそっぽを向けば
「キャー可愛い!」とあっちでは大騒ぎ。
当時日本にいた頃は、深夜に散歩しててもナンパどころかキャッチにすら相手にされなかったのに。
なんだこの歴然たる差は、美形ってすげぇなおい。
モブ「テメェ!何しやがるガキ!!!」
複雑な心境のまま市場を渡り歩いていると、トラブルがあったのかそう遠くないところから怒号が響き渡った。
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雛乃(プロフ) - ゼロさん» コメントありがとうございます。できるだけ早く続きを公開できるよう努めます! (11月5日 21時) (レス) id: e4701a63e5 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - 続きが気になります!更新を楽しみに待ってます!!! (11月5日 17時) (レス) @page17 id: b291809af8 (このIDを非表示/違反報告)
雛乃(プロフ) - ロア……のスマホ版のようださん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (10月18日 18時) (レス) id: e4701a63e5 (このIDを非表示/違反報告)
ロア……のスマホ版のようだ - 好きです!最高です!最新楽しみにしています! (10月18日 18時) (レス) @page4 id: 4dffd0e6b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛乃 x他1人 | 作成日時:2023年10月17日 13時