プロローグ ページ1
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元より、顔立ちが整っている自覚はあった。
齢5歳にしてかなりの自信過剰だとは思うが、事実なのだから仕方がない。
文句なら専門の機関に問い合わせてくれ。
だが、そのことをより一層強く認識したのはたった今。
そう、これは現在進行形の出来事である。
俺がいつも通り、託児所の砂場で同い年の友だちがつくった城を蹴散らしていた時のこと。
顔も知らない同級生が意を決した様子で話しかけてきて、いきなり婚約を申し込まれたのだ。この状況で。
正直、正気を疑う。
俺が彼と話したことがないのもあったが、なにより想い人の最悪すぎる振る舞いを見てもなお冷めない熱量に更に引いた。
所詮は子供同士のごっこ遊び程度のものといえど、コイツから向けられる視線はガチのやつだ。
モブ「きみとあゆむみらいがみてみたいんだ
ぼくのきもち、うけとって?」
『……。』
芝居じみた歯の浮くようなキザな台詞に
「うるせぇ。代引きで送り返すぞ」と口を挟みそうになるが、なんとか抑える。
こちとら恋愛のれの字も知らずに5年やってきたんだ。
返答に困る。何も言えずに押し黙るしかない。
ねぇねぇ、と返事を求める声に苦笑いで答える。
モブ「ッぐ、は………」
モブ「せんせー!◯◯くんがたおれたーー!!!」
すると、目前まで迫っていたアイツの姿は消え
視線をすこし下にやれば、ソイツは地面に体を伏せて意識を失っていた。
え、なんでと焦ってる間にもいっつも俺を叱ってばっかいる先生が足早に駆けつけてきた。
(心当たりなんて、笑いかけたくらいしか……あ。)
____夢小説のテンプレじゃんこれ。
5歳児には、この世界の住人には到底でてこないようなワードが脳裏を掠める。
存在しないはずの記憶が、脳内を駆け回った。
あれは中1の夏、とあるキャラにガチ恋していた“私”は掲示板にて夢主の存在を初めて知る。
そこから数年もかけて読み漁り、自らも筆をとってネットの海に放り投げた。
今はもう題名すら覚えてないほど朧気なもの。
だが
私の記憶には黒歴史としてしっかりと刻まれていたのか、以前の俺に対する拒絶反応が遅れてやってくる。
痛小説ド定番あるあるを地でやってのけた。
生前の私にとってはその事実だけでも十分おぞましい。
だれしもが通る道であることを願いながら、俺も意識を落とした。
モブ「…せんせ、
えっと、なんかAくんもたおれたーー!!」
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雛乃(プロフ) - ゼロさん» コメントありがとうございます。できるだけ早く続きを公開できるよう努めます! (11月5日 21時) (レス) id: e4701a63e5 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - 続きが気になります!更新を楽しみに待ってます!!! (11月5日 17時) (レス) @page17 id: b291809af8 (このIDを非表示/違反報告)
雛乃(プロフ) - ロア……のスマホ版のようださん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (10月18日 18時) (レス) id: e4701a63e5 (このIDを非表示/違反報告)
ロア……のスマホ版のようだ - 好きです!最高です!最新楽しみにしています! (10月18日 18時) (レス) @page4 id: 4dffd0e6b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛乃 x他1人 | 作成日時:2023年10月17日 13時