28 余韻 ページ28
「今何考えてた?」
「な、にも」
「はい、嘘ー。ちゃんと言って!」
言うまで駄々こねてやる、と妙な
脅しを受け渋々
「自由なところも好きだなって考えてた」
「へ…好きなの?俺の事」
「恋人ごっこなんでしょ!」
役作りだよ!とかなり無理矢理な
言い訳を言うとふーん、と意外にも
愛想のない返事が返ってくる。
もっと突っ込まれると思ったのに、
彼は静かに窓の外を見つめるだけだった。
「ねぇ、何か言ってよ。困るんだけど」
「今余韻に浸ってるから邪魔しないで」
「え、なんの余韻?」
「好きって…言ってもらった余韻」
今まで1回も言われたことないし。と
言われ、思わず何だこの可愛い生き物。と
言う思いが膨らむ。少し恥ずかしそうに
口元を隠して言う姿は間違いなく
今まで見た彼の中で1番可愛かった。
「え、可愛いんだけど…。
そんなに好き?私の事」
「だー!!!もう!
うるさいよ、好きだよ!」
ん、んん、と近くのサラリーマンに
咳払いをされ初めてここが車内だと
いうことに気気付く。2人ですみません、と
言いながら顔を見合わせて少し笑う。
5年近く彼と飲んだり、出かけたりしたが
こんなに穏やかな時間は無かった
ように思える。偽りの恋人ごっこだと
しても、やはりこの旅行が特別な
ものになることは間違い無かった。
119人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハムたまご(プロフ) - えぐちくんのりあこさん» ありがとうございます!アイナナの気持ちで書きました…笑 伝わって嬉しいです笑 (2019年10月15日 7時) (レス) id: 13fa79aac7 (このIDを非表示/違反報告)
えぐちくんのりあこ - とてもいい作品でした!旅行中えぐがプレイしていたのはもしやアイナナですかね……?w (2019年10月15日 0時) (レス) id: 7c9069a80b (このIDを非表示/違反報告)
りさち(プロフ) - ハムたまごさん» 応援してます! (2019年8月24日 14時) (レス) id: 41b914f6ac (このIDを非表示/違反報告)
ハムたまご(プロフ) - りさちさん» ありがとうございます! 頑張ります! (2019年8月23日 17時) (レス) id: 13fa79aac7 (このIDを非表示/違反報告)
りさち(プロフ) - めっちゃ切ない!けど凄く面白いです!これからも頑張ってください! (2019年8月23日 16時) (レス) id: 41b914f6ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハムたまご | 作成日時:2019年8月18日 0時