君との関係【江口拓也】

27 行き先 ページ27

「あれ、顔赤いね」

「だって好きな子が
名前呼んでくれてんだもん」

顔も赤くなるよ、とあっさり告げられ
逆にこっちの頬に熱が集まる。正直に
気持ちを伝えるにしてもこれは
ストレート過ぎる。反応に困っていると
いつの間にか新幹線が来ており、
引きずられるようにして乗り込む。
座ったからにはもう手は繋がない
だろうとホッとしていると、2人の間に
上着をかけられ、その下でそっと
手が握られる。

「これで見えない、ね？」

「うわ、なんか…」

手口がいやらしい、と言うと
ちょっと！と言われ思わず
笑ってしまう。やっと笑った、と言って
微笑む彼は紛れも無くいい男だった。

「ねえ、なんで静岡なの」

「あんま行ったことないから。ある？」

無い、と首を降れば
じゃあいいじゃん。と楽観的に言われ
改めて彼の自由さが分かる。
その自由なところも好きなんだよね、と
思いながら彼の顔を見ていると

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