君との関係【江口拓也】

18 死ぬ気で(江口さんside) ページ18

「お前それはやべぇ」

「声に出てました？」

バリバリな、と言われ思わず口を抑える。
口を抑えていても、言葉は漏れ出てくる。

「いつになったら守れんだろ」

「いつって、いつでもだろ」

「え？」

ふと隣を見ると良平さんはカラカラグラスを
回しながら俺の零した言葉に返事をくれる。

「守りてぇって思ったら
守れんだよ、いつでも」

「守りたい…」

「死ぬ気で手に入れようとしたのか？」

「死ぬ気で…」

オウム返しをしながらその言葉を
ゆっくり心の中で咀嚼する。いつも
彼女の優しさに甘えていたのは俺だった。
守れないくらいなら遠くから見守って
助けて。俺じゃない奴が幸せにして…と
思った所でそれは違う、と首を振る。

「俺、死ぬ気で手に入れます」

「おう、頑張れ」

フラれたら高い酒飲もうぜ、と
笑いながら言う良平さんに
奢りですか？と聞くと真顔で

「お前の金だよ」

少しも甘やかしてくれない先輩に
文句を言いつつ、感謝の気持ちを込めて
グラスを合わせた。

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