君との関係【江口拓也】

16 少女漫画みたい ページ16

これは予想していなくて慌ててお手拭きを差し出す。

「ちょ、泣かないで！宏太朗！」

「だっ、だって…な、ふた、
2人…少女漫画みたい」

「え、この歳で少女漫画は嫌だな」

グズグズ言いながらお手拭きで
涙を拭う宏太朗の方こそ、少女漫画の
ヒロインみたいで可愛かった。
思った以上に宏太朗は私達のことが
好きらしい、そんなことを呆然と
思っていると

「僕、お二人のこと好きなんです」

「突然告白するね、酔ってるな？」

宏太朗の手元を見ると意外にも
ジョッキは半分ほどしか進んでおらず、
彼はシラフらしい。

「好きだから…幸せになって欲しい」

そう言ってギュッと手を握られる。

「僕、相島さんのこと
応援してますから！」

「暑苦しい、宏太朗」

「なんで！？」

その反応江口に似てるね、そう言って
笑いながらいい後輩を持った、と
ビールを流し込んだ。

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