柘榴 ページ18
「おはようございまーす」
デスクに荷物を置き、急いで化粧室へ行く。
.
鏡で顔を見る。
紅く火照った顔。
、、ん？打ち合わせの1時間前にここに着いてるって、、早くない？
というか、早すぎない？
まあ、このビルには沢山の会社が入ってるから
別の打ち合わせもあったのかも。
それにしても、あんなタイミングで目が合うなんて最悪。
絶対ブスだった、、。
この後会ったら、笑い話にしてくれるといいけど。
、、でも、たぶん大野さんはなんとも思ってないだろうな。
そう自分で思うと、胸が痛くなった。
.
朝から大汗かいたので、少しメイクを直してデスクへ戻る。
早速メールや資料を確認していると、
.
『今日大野さん来るらしいよ』
『えー！やだ！お茶出し私がしたい！』
『紺野さん羨ましー！同席させてもらおうかな』
楽しそうな会話が聞こえる。
小声で話してるつもりかもしれないけど、聞こえてますよ？
同世代〜ちょい上のお姉さん方が盛り上がる。
部署が違うので、クライアントと直接の接点はない。
だから、お近づきになりたいとか言って私の元に来るんだろうな。
それは困る。色んな意味で。
.
.
「ね、二宮が商談室使うの13時からよね？」
和「うん。え、10時から始めて13時まで打ち合わせすんの？」
「いや、確認しただけ。長くなるといけないなーっと思って」
和「長引いたら会議室とか使うし、別にいいけどね。
ていうかお前、正午に絶対昼飯食べたい人だから昼で切り上げるだろ(笑)」
「え？あーうん。それはあるね。」
和「ま、ごゆっくり〜」
.
嫌味っぽいけど、なんだかんだ二宮はいい奴。多分。
.
そろそろ時間だ、大野さんを迎えられる準備をする。
提案用の資料やパソコンを並べ
ビシッとスーツの襟を整える。
.
この待ってる間って緊張するんだな。
今までこんな経験ないから、新鮮だな。
.
待ち侘びた時間だ。
、
あの、はじめての時みたいに
同じノックの音と、
同じ爽やかな香り。
智「おはようございます」
「おはようございます」
丁寧にお辞儀した。
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作者名：はむたろう | 作成日時：2019年11月30日 23時
