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109. ページ9

バタン


周りの全てを遮断したいのだろう

扉を閉めて内側から鍵を閉めた

嵐山さんと私しかいないこの部屋に虚しく響く



「ツバサ」


「なぁに」


「…」



余程怒っているのか黙ってしまった

けれど私はなにで怒っているのかもわからない


「嵐山さん?」手を握って下から顔色を伺う

部屋の電気が点けられていないのでどういう表情をしているのかわからない

もどかしいと思ったら握った手にきゅ と力がかかる


ぶらり と体の横に絡まったままの手を上げた

しばらくその手をじっと見たかと思えば、指一本一本を絡ませる手の繋ぎ方に変える

この繋ぎ方ではないだろう?と恋人繋ぎ変えられ、むっとして眉を思わず顰めた



「トリガーを解いてくれないか」


「トリガー、を?」



「あぁ」いつものキラキラとした嵐山さんからは想像もつかないような低めの声

顔は相変わらずあまり見えない


ここは従っておいたほうが良いと判断し解除した

目線が見慣れたものに戻ったのと同時に目眩が訪れる

大丈夫、そんなに強いものじゃないから



「ツバサ」



パッ

いきなり電気が点いた

眩しくて目を細める



「ツバサ」


「…」



電気のスイッチに手を繋いでいるもう片方の腕を伸ばしていて、嵐山さんが点けたんだと理解する

いきなり点けなくてもいいのに



「俺を…頼ってほしかった」



目を慣れさせていると、上から降ってくる声

顔を上げると今にも泣きそうな彼がいた


、まずい



「嵐山さんあのね、違うの、」


「俺じゃ頼りない?」


「っ、そうじゃなくて…!聞いてよ、」


「じゃあなんで俺を頼ろうとしないんだ!」



両肩を掴まれて、壁に打ちつけられた

鈍い痛みが肩から腰にかけて走る


だめだ、聞こうとしてくれない

繋いでいた手は、空気の冷たさが暖かかった手に侵食していく



こんなことが前にもあった

原因は私


ここから憶測でしかないけれど、出会ってから嵐山さんは、私に頼られるのが好きだった

私も私で、頼られるのが好きなんだなとわかったからほぼ利用するという形で、助けて貰っていた

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ツバサ(プロフ) - しのさん» コメントありがとうございます!!蘭が褒めて貰えるとは…🥲しかも読みやすいだなんて…!あまり自信がなかったのでそう言っていただけて良かったです!!頑張って書かせていただきますね!!!😊 (2023年4月5日 19時) (レス) @page20 id: 1052176700 (このIDを非表示/違反報告)
しの - とても読みやすくて好きです!夢主ちゃんの健気さも明るさも好きすぎます...更新ゆっくり待ってます! (2023年3月29日 12時) (レス) id: 47a7886cb6 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ(プロフ) - shionさん» コメントありがとうございます!!!😭😭そんなことを言って貰えるとは思っておりませんでした!!頑張って書きます! (2023年3月25日 17時) (レス) id: 1052176700 (このIDを非表示/違反報告)
shion - コメント失礼します!主さんの小説すごく好きです!いつも高評価が1回しか押せずすごく悔しい…のんびり更新待ってます! (2023年3月25日 15時) (レス) @page14 id: 59a8bd0fed (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ(プロフ) - 雪見大福さん» コメントありがとうございます!!前回の更新からモチベが無かったんです!励みになります🙏これからもゆっくりな更新になりますが、コツコツ頑張ってゆきます!!! (2023年3月19日 19時) (レス) id: 1052176700 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ツバサ | 作成日時:2023年2月14日 22時

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