王様と召使い その1 ページ10
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「お邪魔しまーす」
菅原さんがうちに来た。来ることを知っていた僕は、今日も予め用意していたリュックを背負い、靴を履こうと玄関の段差に腰掛ける。
「春樹」
名前を呼ばれて振り返ると、菅原さんがにこにこと笑って立っていた。
「気遣ってくれてありがとな。でも今日はいいよ。外寒いだろうし、この間のゲームの続きしようぜ?」
「でも、お姉ちゃんは……」
「今日は清水も一緒にゲームするってさ。そんでその後、3人で飯食おう」
「いつも気を使わせてちゃ申し訳ないと思ってね」
姉までそういうものだから、僕は2人の目を見て頷く。ここまで言われたら、断る理由もない。僕は姉と菅原さんに少し待つように言い、2階に上がり、自室の電気を点け、ゲームの電源をいれる。この間菅原さんに見られた大切な封筒を挟めた成人向けの本は、鍵付きの引き出しにしまい、鍵は枕の下に隠した。
(これで完璧)
「春樹ー、そろそろいいかー?」
1階から大きな声で呼びかける菅原さんに、いいですよーと返すと、階段を登る2人分の足音。
菅原さんが部屋に入る時、アレはちゃんと隠したのか?、なんてからかってくるものだから言い返したかったけれど、姉がいる手前そんなことは出来なかった。
その後、数回プレイして一旦休憩でもしようかというところで、菅原さんが口を開いた。
「春樹はどこの高校行くの?」
僕の返答は決まっている。
「もちろん烏野です」
姉もいて菅原さんもいて、家からもさほど遠くない烏野高校に入ると決めた時、両親を含め誰も反対する人はいなかった。
「そうか、じゃあ学校でも会えるかもな! ちなみに部活は? やっぱりバレー部入ってくれんの?」
この問に対しては、すぐに答えは浮かばなかった。
僕は中学ではバレー部だったが、中1で入部してから中3の部活引退まで、あまりいい思い出がなかったのだ。
小学生の時、僕はバレーが大好きだった。そのため、自分を含む同級生達が受験もせず入学するであろう町立の中学にバレー部がないと知った時、わざわざ試験を受けて隣町の北川第一中学校に入学したのだ。
しかし僕は、後にこの選択を激しく後悔することになった。
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ハムちゃん大先生(プロフ) - 優麻さん» 了解しました!この物語中に織り交ぜたいと思います。今後の展開にご期待ください! (2020年1月1日 18時) (レス) id: 2a7a4ab774 (このIDを非表示/違反報告)
優麻 - ハムちゃん大先生さん» ぁ、あ、ありがとうございます!及川さんと岩ちゃんと三角関係が欲しいとか言っても…? (2019年11月19日 22時) (レス) id: fe7d430fbe (このIDを非表示/違反報告)
ハムちゃん大先生(プロフ) - 優麻さん» リクエストも募集しておりますので、こんな話が読みたい!という希望がありましたらなんなりとお申し付けください。リクエストは作中に織り交ぜたり、次回作の参考にさせて頂きますので、お気軽によろしくお願いします! (2019年11月19日 12時) (レス) id: 2a7a4ab774 (このIDを非表示/違反報告)
優麻 - ハムちゃん大先生さん» みぎゃああああああありがとうございます!楽しみにしてます!すごい分かります。どうしても悲恋が書きたくなるんですよね。私は書けないんですけど! (2019年11月11日 20時) (レス) id: fe7d430fbe (このIDを非表示/違反報告)
ハムちゃん大先生(プロフ) - 優麻さん» 木兎さんと国見くんもかっこいいですよね! 出来ればこの2人も、物語の中に登場して夢主くん達と絡むようにしたいと思います! (2019年11月10日 17時) (レス) id: 2a7a4ab774 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハムちゃん大先生 | 作成日時:2019年11月5日 22時