雨 ページ13
「マジで有り得ないんだけど…」
ローファーに履き替えて外に出ようとすると、外が雨なことに気づいた
今日雨なんて言ってた？天気予報もまともに見ないから知らない。傘なんて持ってるわけない
えっと、駅まで10分？行けるかな
勢いでスクバを頭に乗せて走り出す
・
「あれ…」
昇降口から3歩ぐらい走ったところで、いきなり頭の上の雨が止んだ。
なんで？屋根ってこんなとこにあった？
・
『傘無いんでしょ？』
・
後ろを向くと、
例の黒髪がこちらに傘を傾けている
なんでやさしくするの？
「いや。走るんで大丈夫です」
『お前はアスリートなの？駅まで意外と遠いよ』
｢…いやでも｣
知らない人と相合傘なんて無理だし、なんて口が裂けても言えない
『よく知らねえけど、あんま意地張んな』
そう片方の口角を上げて嘲笑うと、私の意見はお構い無しに無理やり傘に入れて歩き出した
この人意外と笑うんだ
｢…ありがとうございます…｣
肩幅が広めなんだろうか、歩く度に傘からはじき出されそうになってしまう私の肩を押さえて、おしくらまんじゅうみたいにぎゅうぎゅうで歩く
『名前、何？』
｢…姫野A｣
『俺松村北斗ね。よろしく』
彼も私と似て人見知りなようで、しばらく沈黙が続く
初めはただの遅刻野郎だと思ったけど、私の肩を触る手が妙に優しくて、
久しぶりに人に触れた気がして少しだけきゅんとした
やっとの思いで駅に着くと、
『風邪引いても責任取らないからね。それじゃ』
彼は傘を畳んで、少しだけ私に付いた水を払うと反対側のホームに行ってしまった
もう少しなんか話すべきだった？無口な自分がほんとに腹立たしい
｢…意地張るな、か…｣
少しだけ残った肩の温もりを感じながらもう一度彼の言葉が頭に響いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 504人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はむ(プロフ) - あぷるさん» コメントありがとうございます！頑張ります(*^^*)！！ (2020年5月25日 9時) (
レス) id: d60e95a512 (このIDを非表示/違反報告)
あぷる(プロフ) - とても面白いです！頑張ってください〜！ (2020年5月25日 0時) (レス) id: a22ab0fda4 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - プチトマトさん» ありがとうございます！至らない文章ですが続けられるように頑張るのでよろしくお願いします(*^^*)！ (2020年5月21日 17時) (レス) id: d60e95a512 (このIDを非表示/違反報告)
プチトマト - この小説すごい大好きです！頑張ってください！ (2020年5月21日 17時) (レス) id: 95a92f1734 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はむ | 作成日時：2020年5月20日 9時
