風のような人 ページ38
.
「あ!いなくなったと思ったらここにいた!」
ミンギュくんが濡れた髪をかきあげながら走ってくる。腹筋割れてるなあ〜脇毛はどんな感じ…いけない、私ったら。
「Aちゃんとお喋りもいいけど、お前はこれから俺とクロール対決!忘れたの?」
「ああ、覚えてるけど…わ、おい!」
「Aちゃん、ちょっとハンソル借りてくね!」
ミンギュくんは、ハンソルくんの首に腕を回してずるずると引きずっていく。
足をバタバタさせて抵抗していたハンソルくんも、「わかったから離して」と諦めた様子。
「A、ごめん。すぐ戻るから」
「ううん、ゆっくり楽しんできて!いってらっしゃい〜」
「いってきま〜す!ハンソラ!ほら行くぞ!」
「うん。わかったから」
遠くなっていく二人を見届けて、大きく背伸びする。
黄色がかった砂色には、白く光った貝殻たちが目立つ。
貝殻集めでもしようかな。瓶に入れて持って帰ったら思い出にもなるし。
「ひとつ、ふたつ…」
拾った貝殻を首に掛けていたタオルに包みながら歩けば、クロックスは砂だらけになっていた。
*
6つ目のお気に入りを見つけた時には、岩場まで来ていた。
海と繋がっている小さな洞窟を背に、7つ目をタオルに包んでいると、目の前に影ができる。
緑色のクロックスと、しゃがんだ足の前に血管の浮き出た手。
「なにしてんの」
穏やかだった私の砂浜に、大きな波がやってきた。
恥ずかしさと緊張で、声がひっくり返りそうになるのを悟られないように、「貝集め!」とヘラヘラしてみると、「ふうん」と興味なさそうな返事が返ってくる。
それから緑のクロックスは離れて行って、ふう、と一息。
ミンハオくんは海というよりは風かもしれない。どこからともなくやって来て散々こっちの心をかき乱していくのに、気づいたらどこかに吹いて行ってしまうの。専らこんな潮風みたいな匂いではないし、心がかき乱されるのも彼のせいじゃないけれど。
「あ、綺麗」
白にも薄ピンクにも見える貝に手を伸ばす。
すると、また影ができて、緑のクロックスと大きな手の平いっぱいにキラキラ光る貝殻たち。
「え、これ…」
顔を上げれば、今日初めてちゃんと見るミンハオくんの顔。
濡れた長めの前髪はカラーリングのせいか少し傷んでいるなとか、奥二重なんだなとか、そんなことを発見してちょっぴり嬉しくなる。
「あげる、あんたに」
.
ラッキー夏休みセット
スングァンくんと浮き輪
186人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おはむ(プロフ) - ハフィントンポストさん» コメントありがとうございます!!あまりこの二人メインの小説は無いですよね!そう言って頂けて嬉しいです(^^)チャイナペン様でしょうか?機会があればジュンくんも出せたらと思っています! (2019年1月25日 21時) (レス) id: c8a5407516 (このIDを非表示/違反報告)
ハフィントンポスト(プロフ) - 読み始めたばっかりなんですけど、ハオちゃんとハンソルんの名前見てww発狂しましたwwあまりこの二人の小説が無くて、丁度此処にいいものが見つけれて私は嬉しいです。 (2019年1月17日 20時) (レス) id: b852baaf97 (このIDを非表示/違反報告)
おはむ(プロフ) - とうふさん» お優しいお言葉くださいましてありがとうございます(ToT)そんな風に仰って頂けると、本当に頑張れます!!これからの恋の展開にご期待くださいませ(*^^*) (2018年3月10日 23時) (レス) id: 95a3bb9723 (このIDを非表示/違反報告)
とうふ - すごく素敵な作品に出会えて感動しました。お話の雰囲気や文章の書き方など、とてもお上手ですね。更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2018年3月10日 0時) (レス) id: 51d4244c95 (このIDを非表示/違反報告)
おはむ(プロフ) - さめさん» はじめまして〜!言葉が出ないなんて…ありがとうございます(涙)とっても励みになります!!頑張りますね!!!(*^^*) (2017年8月27日 20時) (レス) id: b7e2fa196d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おはむ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/loveinidlenes00/
作成日時:2017年8月9日 17時