スイミング・フール １

水着は競泳用しか持ち合わせておりません ページ34

.




「そういえば！ホテルは海もバーベキューも出来るんでしょ？すっごい所だよね…俺たちなんか誘ってくれてほんとありがとう！」


「いやいやそんな…私は何もしてないから！チケットを当ててくれたのはぶーちゃんの、あ、そこにいるスングァンくんのお父さんなので！」


「スングァンくん！スングァンくん、ありがとう！」


「いえいえ〜！」



ミンギュくんが前の背もたれに腕を置きちょっぴり身を乗り出すので、そこに座っているミンハオくんは一瞬迷惑そうな顔をして振り向くのだけど、腕を組んだままでまたすぐ目を閉じる。


イヤホンからはどんな音楽が流れているんだろう。予想では、ガンガンしたロックな感じの曲なんだけど、もしそうなら眠れるのがすごいなあ。


ソクミンくんはというと、ミンハオくんが眠っているので、ぶーちゃんにお礼を言ってからもずっと話していて盛り上がっているみたい。二人とも優しくて明るくてしっかり者だし、波長が合うんだろうなあ。



「あ！？Aちゃん！！！」


「！？はいっ！？」


「海ってことはさ、水着持ってきた？」



どんな水着なの？気になる気になる〜と、またまた見えないしっぽを振るミンギュくん。


どうしたものか…私はそのご期待に沿えません…。



「水着持ってきてないや…」


「えっ、なんで！？」


「新しい水着買ってなくて…」


「別に前着てた水着でもいいのに！」



前着てた水着は中学の時の競泳用のスクール水着しかございません…！！！


だなんて、イケイケのミンギュくんには引かれるから言えない。


明らかにしゅん、としているミンギュくんになんて言おうか悩んでいると、今まで景色を眺めていたハンソルくんが「Aは泳げないんだよ」と助け舟を出してくれた。


助け舟といっても嘘ではなく本当のことで、私は散々ミンハオくんの世界で泳ぎたいと言ったり、気持ちだけはふわふわ泳いでいることがあったりしても、実際は水が苦手だ。ビート板を使っても浮けないし、息継ぎすらできないもの。



「そっかそっか…それなら仕方ないね。じゃあ海には行かないで休んでる？」


「ううん、私も海には行くよ！海を見てるのは好きだし、砂でお城でも作ってみんなのこと見てるよ！」


「ほんと！？じゃあ俺がめっちゃクロールするの見ててね、絶対だよ！ハンソラ競争しよう！」


「え、絶対俺負けるじゃん(笑)」


「ふふ、二人とも応援するね〜！」




.

お部屋決め→←Long time no see

ラッキー夏休みセット

スングァンくんと浮き輪

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す