夜空に浮かぶ星のように【Ren.M】3

95. 向井side ページ24

向井side



向井「あれ、出えへんなー」



来週行くお店ええとこ見つけたからメッセージを送ったけど、返信が無くてつい電話してしまった。


時間は22時を過ぎたところ。まだ帰ってへんのかな？



向井「…いきなり電話ってちょっとしつこかったかなあ」



うーん、とスマホの画面を見つめる。



「何、前言ってた気になってるコ？」



缶ビールとつまみをテーブルの上に置いて正面に座った相手。



向井「電話したんやけど繋がらんくってさ。…あかん俺もうこの子の事になると頭いっぱいいっぱいやわ〜」



グテンと机に突っ伏すと、ぶはっと笑われる。



「何だよ、康二にしてはえらい悩んでんじゃん。基本上手くいってんのに」



向井「いや俺のこと遊び人やと思ってんの？ちゃんと一途やからな？」



「てか、そんな可愛い子なの？」



スマホをいじりながら話すから、興味あるんだか無いんだか。



向井「可愛いで。でもそれ以上に空気感かな。すごい惹かれるんよな。ただ、１つ気になる事あんねん」



「気になる事？」



向井「俺のただの勘違いかもしれんけど。多分その子、忘れられへん相手がおるんちゃうかなって思うねん」



「…好きな人って事？」



分からんけど、多分。と頷くと、それ分かってて好きって相当だなと言われる。



「気になるなら本人に聞いてみればいいじゃん」



向井「…うん」



俺もそう思うよ。そこがはっきりせんと、俺の気持ちも進まへんと思うからさ。



「…何か聞けない理由でもあんの？」



スマホから目を離してじっとこちらを見る目。


…こーいうとこ、好きやけど今は嫌やな。勘が良すぎるのもどうかと思うわ。



向井「…聞きたいけど聞けないんよ。もし想像した通りやったら俺勝ち目ないから」


…あーもう！！
目の前のビールを開けて一気に飲み干した。



「あはは、荒れてんなあ。酒強く無いんだから程々にしろよ」


向井「ええねん！今日は呑むって決めてんねん！！」



テーブルに伏しながらスマホを見つめる俺を笑いながら見てくる。



向井「…Aちゃん、電話返してくれるかな」



俺の呟いた言葉に、A？と反応された。



向井「ん？どしたんふっかさん」


深澤「いや…別に。知り合いと同じ名前だったから」


向井「そーなん？ふふ、偶然やろ」



あ、あかんわ。もう酔い回ってきた。
ここで寝んなよ、という言葉が聞こえた時にはすでに意識を手放していた。

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