65. ページ29
『…お風呂頂きました』
目黒「…ん』
部屋に戻ると、煮込み終わった野菜スープをお皿に盛り付けてくれている目黒。
ちらっとこちらを見て、すぐに手元に視線を戻した。
そんな姿がちょっと可愛いな、なんて思った。
コップにお茶を注いでローテーブルに2人向かい合わせに座る。
『頂きます』
目黒「…きます」
2人で手を合わせて、野菜スープを口にする。
会話もなく黙々と食べる。
カチャカチャとスプーンがカップにあたる音だけが響く。
目黒「…ごめん」
先に口を開いたのは目黒だった。
顔を上げると、目黒もじっとこちらを見ている。
目黒「無理やりあんな事して。悪かった」
ごめん、とまた言って頭を下げる。
『…ううん。大丈夫だから。顔上げてよ』
ゆっくり顔を上げた目黒。
『目黒が話したくなったらまた話してよ』
ぎこちないかもしれないけど、そう言って笑うと
目黒の表情も少しだけ柔らかくなった気がした。
食べ終わって食器を片付けると、目黒の姿は無く
部屋の奥のベランダの窓が開いていた。
ベランダを覗くと、柵に手を置いて空を見上げる後ろ姿。
カラカラと網戸を開けて私も外に出る。
季節は秋。
風がだいぶ冷たくて両手で体をさする。
そんな私に気づいて、目黒は羽織っていたパーカーを脱いで私の肩にかけた。
フワッと香る目黒の香り。
『…ありがと。目黒は寒くないの？』
目黒「俺は毎晩ここで見てるから慣れてる」
そうなんだ。
そういえば屋上で初めて見かけた時も
空、見上げてたな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1389人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mamemiya(プロフ) - sakiさん» コメントありがとうございます。2人の距離感を意識しながら描いていたのでそう言って頂けるととても嬉しいです。ありがとうございます。今後の展開も是非お楽しみくださいませ。 (2022年10月8日 17時) (
レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
saki(プロフ) - はじめまして！切ない文章と🖤くんとヒロインの距離感とすべてに引き込まれてしまい、一気に見てしまいました！学生時代をへて、大人になった2人の関係がどうなっていくのか楽しみです！ (2022年10月8日 10時) (レス) @page33 id: afb888858a (このIDを非表示/違反報告)
mamemiya(プロフ) - ももさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けると励みになります(T-T)✨引き続きよろしくお願いします。 (2022年10月6日 19時) (レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
もも - 毎回とっても面白くて更新が楽しみです！無理しすぎず頑張って下さい🖤 (2022年10月6日 19時) (レス) @page20 id: f83d331629 (このIDを非表示/違反報告)
mamemiya(プロフ) - 雫さん» コメントありがとうございます。読んでいただけて嬉しいです。マイペースな更新で申し訳ないですが、完結まで是非お付き合いくださいませ(_ _).｡o○ (2022年10月2日 14時) (レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mamemiya
| 作成日時：2022年10月2日 12時
