仮面のシンデレラ【Tatsuya.F】2 (ページ6)

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手のひらサイズの人形。

「俺このキャラ好きなんだよね」

『じゃあ自分で持って帰りなよ』

「いーのいーの。俺はいつでも好きなの取れるし。
水瀬さんも好きなんでしょ？このキャラ」

…どうして知ってるの？

私の表情を見てニンマリと笑った深澤君。

「この前有岡君の家遊び行った時にさ、このキャラの人形がやけにたくさんあったから何で？って聞いたら、幼馴染が好きなんだよって言ってたから。もしかしたら水瀬さんの事かなって」

そうだ。大ちゃん、私の分を取った後も何故かたくさん取ってて家に持って帰ってたっけ。

懐かしい。

「はい。せっかくだから貰ってよ」

『…でも、』

「貰ってくれると嬉しい。初サボり記念的な？笑」

そう言って笑う深澤君にそれ以上断る理由も見つからなくて、ありがとうと小さくお礼を言って目の前の人形を受け取る。

黄色くて目が大きい某アニメーションのキャラクター。
コスプレの様な衣装を着ていて可愛い。

「見て見てー私も沢山取っちゃった！
これAちゃんにあげる！」

『わっ』

沢山渡された人形やお菓子。

「里穂取り過ぎだろこれ。俺より取るなよ」

「これはAちゃんとの初サボり記念なの！」

「その記念はもう先に俺が渡してるから」

「もー何で辰哉が先なのよ！」

『…ふ』

「「…え？！」」

『！！』

急に2人が大声をあげるから肩がビクッと鳴る。

『な、何』

「え、今笑った？！水瀬さんが笑ってんの俺初めて見たんだけど！」

「Aちゃん笑うと超可愛い！いや、いつも可愛いんだけどね？？」

『…！』

急に顔に集まる熱。

バッと2人から顔を逸らす。

「…げ！！やばいお母さんからだ」

何でー？と焦った様子でスマホを触っている綾瀬さん。

サボっている事が母親にバレたらしい。

え、もしかして学校から連絡入ったの？

深澤君を見ると、ケラケラと笑っている。

どうやら綾瀬さんはサボりの常習犯らしく、とうとう先生から親に連絡が入ったとの事。

「ごめん、私戻る！！
辰哉たちも早く戻りなよ！」

「おー、適当にぶらついてから帰るわ」

バタバタと走っていって、急に静かになった空間。

「悪いヤツじゃないからさ。ゆっくりで良いから仲良くしてやってよ」

よし、腹減ったし何か食いいくかーと先に外に向かう深澤君の後ろを急いで追いかけた。